戦線離脱から丸2年が経過「まだ全力疾走はしていない」“127億円男”の現状

◆■ 「私が知る限りでは、まだスプリントはしていません」

NBAのプロキャリアは常にケガという危険と隣り合わせにある。ペニー・ハーダウェイ、グラント・ヒル、現役であればデリック・ローズなど、もしケガがなければと思う選手は数多く存在する。

ロンゾ・ボールもまた、ファンが復帰を心待ちにしているプレーヤーの1人である。シカゴ・ブルズのガードは、2022年1月15日(現地時間14日)のゴールデンステイト・ウォリアーズ戦を最後に、2年以上もコートを離れている。

度重なる手術で再起を試みるも、左膝の違和感が拭えず、2023-24シーズンも全休の可能性が高まっているロンゾは、再びタクトを振るべくリハビリを続けているが、ブルズのビリー・ドノバンヘッドコーチ(HC)によると、まだ全力疾走はできない状態だという。

「彼が行き詰まっているとは思いません。シューティングやランニング、跳躍運動などに取り組んでいます。しかし、私が知る限りでは、まだスプリントはしていません」

「話し合いをし、スプリントはある種の目標として設定されたポイントのひとつです。現在の優先事項は彼が後退しないように、もっと脚部の力をつけることにあります。手術を受けて長期間、脚を使ってこなかったため、彼には本格的な活動を再開する前に大腿四頭筋の強化にまつわるフィジカル面での課題をクリアしてもらいたいと考えています。それが妨げになるとは言いたくありませんが、彼らはその目標に向けて追い込んでいる段階です。彼自身、現在の取り組みに関しては良い感触を得ているはずです」

◆■ 注目の動画投稿…いつ復帰できるのか

試合前に練習するロンゾ・ボール(画像は2022年1月)[写真]=GettyImages

当初、ロンゾは半月板の裂傷で数週間程度の欠場が予想されており、離脱がこれほどまでに長期化するとは思っていなかった。一時は選手生命が絶たれるのではという噂も流れたが、当の本人は繰り返しコートに戻る意欲を示しており、「周りの雑音は気にならない」と復帰に向けて前向きなコメントを残していた。

彼のプレーを見たことがあるファンであれば、その才能については説明するまでもないだろう。アンセルフィッシュなスタイル、天性のパスセンス、優れたコートビジョンはもちろんのこと、ディフェンスでの献身性も目立ち、プレーした最後のシーズンは3ポイント成功率も42.3パーセントを記録。デビュー以来、年々と成長や改善が見受けられる勤勉性は高く評価されており、現行契約の4年8500万ドル(127億3000万円)に誰も異論はなかった。

しかし、まだ全力疾走に慎重になっている状況となると、今シーズンの全休は避けられないだろう。一方で、SNSにはバックボードを使った1人アリウープでダンクを披露する様子が投稿され、着実に回復に向かっていることが確認されている。

ブルズは、現行契約のラストイヤーにあたる2024-25シーズンの開幕までにロンゾが戦線復帰することを期待している。また、シカゴのファンたちも、最高のスタンディングオベーションで迎える準備ができているに違いない。

ロンゾ家の長男は、長いトンネルを抜けるために一歩一歩、前進を続けている。

文=Meiji

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