「国際バカロレア」教育を取り入れた高知国際高校 1期生が卒業 海外の大学に進学する生徒の思いとは【高知】

名古屋大学や東北大学、広島大学などの国立大学に、上智・明治・法政などの私立大学。これは3月1日に卒業式が行われた高知国際高校の1期生の進学状況です。

国公立大が23人。私立大が44人。海外の大学が3人と、現在、大学入試の真っただ中にもかかわらず、すでに推薦入試だけで多くの生徒が進路を決めています。

高知と日本、さらに海外をつなぐ、グローバルな人材育成を目指す国際高校。海外の大学に進学する生徒の思いとは。

高知市の高知国際中学高校。高知西高校と高知南中学・高校が統合し2018年に開校しました。特徴は、中学と高校で学ぶ「国際バカロレア」教育。特に中学から入学した生徒は、学習指導要領を探究的に学びます。

奈良の大仏や姫路城。一見すると、日本史を学んでいるようですが実は、美術の授業です。生徒たちは作品の生まれた時代やその背景を探求しながら美術を学びます。

数学の授業で解いているのは、三角形の交点を求める問題。使うのは英語です。生徒に話を聞いてみると、「完全に英語で授業をしているのは、数学と英語の授業。日本語から英語に頭の中で翻訳するというよりも、ぱっと英語が出てくるようになった」。

「国際バカロレア」は、世界中の人が学んでいる教育プログラムの代表格。海外や日本などの大学進学につながります。マレーシアの大学に進学予定の生徒は「進路を決めるにあたって、担任の先生とか相談してくれた。国際高校でなければ、この進路を選べなかったと思う」「海外大学の視野もなくて日本の大学に行こうと思っていた。ここで勉強して様々な視点が広がったので、将来は国連の職員になってみたい」と話してくれました。

国際高校では、卒業を迎えた1期生のうち3人が海外の大学に進学します。卒業生のひとり、高橋晴香さんは京都の立命館大学とアメリカの首都ワシントンDCの大学への進学が決まっています。2年間ずつ、それぞれの大学で単位をとれば2つの大学を卒業できます。

高橋さん

「自分は(大学の)国際関係学部に入って文化を学びたいと思っている。将来は外務省に就職して日本の文化を発信していく仕事に就きたい」。

もともと海外の大学に進学する気がなかったという高橋さん。学校生活の中で海外の文化や価値観に触れるとともに、英語を話す楽しさを覚えたことで思いを強くしました。

高橋さん

「自分の大学がワシントンDCにあるので、(アメリカの)政治の中心地だと思うので、文化を発信していくうえでも政治と文化の振興は密接につながっているので、その勉強は大学の間にしておきたい」。

海外で学ぶ経験を将来、何かの形でふるさと高知に返せればと思っています。

高橋さん

「高知県の特産物のブンタンだったり、土佐茶だったりを国際的に貿易につなげていく仕事もあると思うので。文化の発信と一緒に高知県を伝えられたらなと思う。」

国際高校の髙野和幸校長は「それぞれの生徒が目標にあったところに進んでくれている。海外から高知につないでもらって、そこから日本全国に広がっていく、そういう活躍できる子どもたちを育てることができれば、この学校のひとつの目的は達成されると思う」と語ります。

3月1日に高知国際高校で開かれた卒業式。高橋さんの姿もありました。国内市場が縮むなかで地産外商にも力を入れている高知県。今後さらに“海外に打って出る”ようなグローバルな人材が必要になるかもしれません。

学校の聞き取り調査によると、卒業生が高校1年生の時にはもっと多くの生徒が海外の大学を希望していたそうです。国内進学が多くなったことについて、髙野和幸校長によると「円安」の影響が大きいとのこと。学校では今後、経済面でサポートできるように奨学金への対策をはじめ各国の治安や食生活などの情報をさらに集めて提供したいと話しています。

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