35年で卒業生3クラス分減の高校も… 少子化の中「新子育て王国」目指して 多くの高校で卒業式 

寒さが残る一方で近づく春の足音、旅立ちの春です。

1日、山陰両県の多くの高校で卒業式が行われました。

コロナ禍明け、初の卒業式ですが、鳥取県米子市での卒業式を取材すると、こんな変化もありました。

米子東高校で行われた卒業式。
コロナ5類移行後、初の卒業式とあって、今年は在校生の代表も出席するなど、ほぼコロナ禍前の形で行われました。

今年度の卒業生は、全日制278人、定時制13人の、あわせて291人。
コロナ真っ只中の2021年に入学し、行事や部活動が制限されるなど、思うような高校生活を送れなかった生徒たちです。

そんな卒業生へ、田辺洋範校長は、「自分の可能性を信じて夢に向かって努力してほしい」と、エールを送りました。

卒業生代表 答辞 岡部真凛さん
「3年間で築いてきた米東120期の絆を胸に私たちは新たな世界に飛び出します」

詰めかけた保護者らは、感慨深い表情で子どもたちの旅立ちを見守っていました。

卒業生
「充実した3年間でした。楽しかったです」
「勉強だけじゃなくて人との繋がりも学べたので(人生に)活かしていきたい」
「涙がいっぱい出ました」
「寂しい思いもあるんですけど、これから新生活がんばって行こうかなと思います」

米子東高校によりますと、全日制の卒業生の数は、1980年代後半に約420人だったのが、昨年度は約320人に減少、今年度はさらに1クラス分、約40人減ったということです。

先日、厚生労働省が発表した速報値で、2023年の全国の出生数は過去最少の75万人、鳥取県では3493人。
2022年より452人減り、減少率は11%あまりと、全国最大になりました。

ただこれには数字の綾の面も。
子育て支援を推進する鳥取県では、2022年の出生数が全国で唯一2021年より増加していて、その反動が出たとも言えます。

鳥取県子育て王国課 遠藤紅弥課長
「出生が減にはなりましたけれども、鳥取県として行っていくことは変わりませんので、子育て王国としてやってきたこと、来年度から新子育て王国として取り組みを進めていきますので。」

来年度は小児医療費の完全無償化、不妊治療の助成拡大、参加しやすい出会いのイベントと、子育て支援では全国トップランナーともいえる取り組みを進めるということです。

鳥取県子育て王国課 遠藤紅弥課長
「鳥取県に住んで良かった、ここで産んで良かった、育って良かったと思ってもらえるような、そんな県を目指したいと思っています。」

ここ35年で約140人、3クラス分ほどが減ったこの日の卒業式。
卒業した高校生のためにも、待ったなしの少子化対策が必要です。

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