夜通しまきくべ、炎と向き合う 栃木県窯業技術支援センター研究生ら 作品を登り窯で焼成

本焼成で夜通し窯にまきをくべる研究生ら

 栃木県益子町益子の県窯業技術支援センターは28日〜1日の3日間、研究生らの作品を登り窯で焼く「焼成」を行った。研究生は夜通しでまきをくべ、完成に向けたヤマ場の工程で伝統的技法の炎と向き合った。

 20代から60代まで、1年目の伝習生と2年目の研究生計17人が手がけた作品約千点を窯に入れた。28日午前から火をたいて窯の中の湿気を抜く「あぶり」の作業を行い、29日午前6時から1日正午まで作品を焼き上げる本焼成を行った。

 炎の様子を確認しながら大口と呼ばれる手前の窯口や窯の左右にある穴から10分ごとにまきを投入する作業を続け、1日未明には、窯の中の温度が1250度ほどに達し、穴から黒煙と炎が立ち上る激しい風景が生まれた。

 マグカップや花瓶、つぼなど数十点を焼いた研究生の城内坂、大塚恭由(おおつかよしゆき)さん(20)は「2年間学び、これでとうとう最後なんだなという思いが湧いてくる。作れば作るだけもっといいものができそうな感覚があるので、出来はずっと80点です」と炎を見詰めた。

 5日に窯から出す。今回の作品を含めた研究生らの力作は12〜17日、益子陶芸美術館で開かれる修了作品展に並ぶ。

© 株式会社下野新聞社