ひな飾り心和ませ 砺波の旧料亭に花街の情緒 志賀町で被災の女性「気分晴れた」

水木さん(手前)の案内でひな飾りを楽しむ松本さん(右)と藤井さん=砺波市中央町

 砺波市中央町の旧料亭「くりす亭」で約120年前に京都の老舗人形店で作られたひな飾りなどが並び、能登半島地震で被災し、砺波の子どもを頼って身を寄せる石川県志賀町の女性らが心和やかに季節の展示を堪能した。3日のひな祭りを前に、かつて花街の情緒漂う建物に旧家から集めた豪華な人形を楽しんだ被災者らは「気分が晴れた」と喜び、しばし地震を忘れ、伝統文化を堪能した。

  ●120年前の明治期作

 京都の老舗人形店「丸平大木人形店」で明治期に製作され、薬店などを営んだ本町の旧家「鈴木家」から4年前に元女将(おかみ)の水木和美さん(70)が譲り受けたひな人形が京飾りで床の間に展示された。琵琶床(びわどこ)にも水屋道具などが飾られた。

 2階座敷の能舞台には京都の御所を模した御殿に内裏びなや三人官女、五人囃子などを飾った豪華な「御殿飾り」や、東宮雛などが並び、節目天井で赤壁の小部屋には掛け軸や色紙のひな飾りも華やかに展示されるなど、明治から大正、昭和、平成に至るひな飾りが彩った。

 最大震度7を観測した志賀町仏木の自宅で被災し、翌1月2日から次女の藤井典子さん(62)=砺波市荒高屋=の自宅に身を寄せる松本しづ江さん(89)は、水木さんのひな飾りを見て「感動した。気分が晴れて元気になった」と笑顔をのぞかせた。

 水木さんは「ひな飾りを見て女性は自然と元気になる。見てもらって良かった」と話した。

  ●8~10日に公開

 1階には「丸平大木人形店」で作られた約120年前の大将人形をはじめ、神武天皇や鍾馗(しょうき)などの五月飾りや、鳴門の木偶人形なども展示され、3月8~10日に「花街のひな飾り 五月飾り」として公開される。

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