日本記録保持者・鈴木健吾がパリ“ラスト切符”に名乗り! 夫婦二人三脚での五輪出場を熱望「一緒に行ければ」【東京マラソン】

パリへの切符を懸けたラストチャンスに燃えている。

3月1日、都内で東京マラソン2024のプレスカンファレンスが開催され、男子マラソンの日本記録保持者(2時間4分56秒)である鈴木健吾(富士通)が登壇。パリ五輪出場権獲得に強い決意を示した。

今大会はパリ五輪の代表選考会マラソングランドチャピオンシップ(MGC)のファイナルチャレンジであり、設定記録「2時間5分50秒」をクリアした最上位が代表に内定する。男子マラソンのパリ五輪代表枠は残り「1」。東京マラソンで設定タイムを切る選手がいなければ、昨秋のMGCで3位だった大迫傑(Nike)が代表に内定となるため、今回が正真正銘のラストチャンスとなる。

東京五輪では代表に入れず、10月のMGCでは無念の途中棄権となった鈴木は「この4年間、代表になるためにやってきたつもり。いろいろな思いを持って悔いなく走りたい」と口調は静かだが、並々ならぬ闘志を胸に秘めている。

近年は故障も重なり、なかなか本来の走りができずに苦しんでいるが、「年明けから、しっかり準備ができた。久しぶりのマラソンで不安がないと言えば嘘になりますが、ここまでできたのは大きな一歩」と確かな手応えを掴んでおり、3日の本番に向けて全力投球を誓う。

2年前に出場した時には2時間5分28秒の好タイムをマークしており、「(東京マラソンは)悪いイメージはありません。出せないタイムではない」と自信を示し、前回以上の記録を虎視眈々と狙っている。
一方で、熾烈な代表争い以外にも28歳のランナーには注目すべき話題がある。妻であり、ひと足先に女子マラソンのパリ五輪代表に内定している一山麻緒(資生堂)の存在である。

鈴木は囲み取材の終盤、彼女の存在について問われると「練習の質や普段の生活から、ワンランク、ツーランクも上にいる。すごく刺激になります」と同じランナーとして尊敬し、大きなモチベーションにつながっていると強調。「一緒に(パリ五輪に)行ければ」と、この時ばかりは笑みがこぼれた。

夫婦二人三脚でのオリンピック出場という夢を自力で掴めるか。運命の号砲は3日の午前9時10分に東京都庁前をスタート。東京駅前で運命の代表争いは、すべて決着する。

取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

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