【ガーデニング】素敵なバラ庭を目ざし、つるバラをきれいに誘引!

ピンクの小花が降るようなロマンチックな景色。つるバラは枝先を上に向けて誘引するのが基本ですが、ランブラーローズなどの細枝のバラは、枝垂れさせても咲きます。よく伸びるので大型のパーゴラ向き。

アーチや壁につるバラが絡まる庭って素敵だと思いませんか? 以前、筆者はイギリスのコッツウォルズ地方の古い家のドアに這うつるバラを見て、その景色の美しさに衝撃を受けたことがあります。構造物とのマッチングで印象的なシーンを作れるのが、つるバラの大きなメリット。基本を押さえてつるバラで遊びましょう。

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イギリスの一般家庭の庭です。中央に芝生を敷き、小輪のつるバラのアーチを設け、足元にもコンパクトシュラブのバラを。バラは白系で統一し、宿根草のブルーでほんの少し色を添えています。
木のフェンスに絡む小~中輪の白いバラ。まるで野生のバラが自然に生えてきたような情景を作り出しています。‘プロスペリティ’、‘シティ オブ ヨーク’、‘淡雪’などでも似たシーンが作れます。

つるバラの剪定、誘引の基本とは

剪定とは不要な枝を切って株姿を整えることで、誘引とは枝をアーチやトレリスなどの構造物に這わせることを言います。つるバラは枝が伸びるバラですから自立はできず、構造物を支えにしないといけません。

その性質を生かして、枝をじょうずに誘引すると素晴らしい景色を作ることができます。つるバラを仕立てることはバラ育ての醍醐味ともいえるでしょう。つるバラはアーチなどの構造物と一体で考える必要があり、構造物に合わせた誘引を行います。

イングリッシュローズの‘ジェームズ ギャルウェイ’をアーチに這わせた例。植えつけて1、2年ほどでしょうか、あと1年でアーチが完成しそうです。パウダリーな色とフリルをおびた花弁が特徴。

また、つるバラは品種によって株元からシュートが出やすいもの、出にくいものがあります。植えつけて3年くらいまでは、ほとんどの品種でシュートが伸びるので、冬に留めていた枝をバラバラにはずして剪定し、枝を留めなおします。

4年目以降のつるバラで、適切に管理していても株元からシュートが出ないような品種は毎年、枝をはずす必要はありません。枝先を切り、バランスを見て留めなおす程度で大丈夫です。

ドイツのバラで、‘アフタヌーン ディライト’の名がありますが、日本では未入荷のようです。花弁を折りたたんだようなロゼット咲きで、花びらの造形に見入ってしまいます。

枝が伸びる余地を残し、バランスよく誘引

枝を構造物からはずしたら、枯れ枝や古枝を付け根から切りとります。古い枝でも途中からよい枝が伸びている場合は切らずに残します。ただしよい枝がたくさんあって構造物に収まりきれない場合は切りとります。

注意しておきたいのは、枝が多すぎて収めるのに苦労するというのは構造物とつるバラのマッチングが良くないということ。伸びすぎるようなバラは大きな壁面やフェンス沿い、大型のパーゴラなどに誘引してやるのがよいでしょう。

家庭用のアーチにはショートクライマーと呼ばれる、伸長2.5mくらいの種類か半つる性のバラが適します。

残した枝に葉がついていたら手でとり除き、構造物に新たに這わせていきます。一カ所に枝が固まったりしないよう、全体のバランスを見ながら斜め上に向けて枝をビニタイなどで留め付けます。

3月中旬からは芽がぐんぐん生長するので、構造物の上部はその分のスペースを開けておくのがよいでしょう。

イングリッシュローズの‘リアンダー’。シュラブ樹形で株バラのようにもなりますが、枝が伸びるのでつる仕立てが向きます。春はもりもりと元気に花をつけ、以降も花数は少なめですが返り咲きます。

枝と枝の間隔は20~30㎝ほど開けますが、太い古枝の部分には花がつかないので、シュートや新しめの枝と2本合わせて這わせてもよいのです。
また、オベリスクやアーチに誘引する場合は、枝を内側に通さず外側に沿わせます。内側に配置すると枝葉が込み合ってきたときに処理しにくく、病気の原因にもなります。

壁面やフェンスに誘引する場合は、枝が長い品種であればS字型を描くようにカーブをつけて誘引するとよいでしょう。
ただし、これは根が動いていない冬の時期にできることで、芽が動いていたら無理に曲げるのはやめて斜め上に這わせるのにとどめます。

枝を留める際は、枝先が上向きになるように細ひもやビニタイで留めるのが原則です。枝をきっちりと誘引すると構造物のラインがきれいに出て、ゆるく誘引すると風に枝が揺れるような自然な風情になります。

オベリスクのトップの飾りなど、構造物自体がおしゃれな場合、あえて全部をバラで覆わないのも一法です。満開の5月をイメージしながら自分好みの景色を作りましょう。


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