茨城県内5金融機関、M&A支援 第三者に事業承継、情報共有

「いばらき地域金融M&Aアライアンス」の締結式で署名した県内5金融機関の出席者=水戸市桜川

茨城県内の5金融機関が1日、事業者の合併・買収(M&A)を支援する組織を立ち上げた。銀行と信金信組がネットワークを生かして情報やノウハウを共有。主に経営を引き継ぐ第三者承継をサポートする。名称は「いばらき地域金融M&Aアライアンス」とした。

連携するのは常陽銀行(水戸市)、筑波銀行(土浦市)、水戸信用金庫(水戸市)、結城信用金庫(結城市)、県信用組合(水戸市)。顧客の事業承継に関する課題の解決を狙いに、普段は競合する5機関が一丸となった。

後継者がいない事業者を対象に、経営を親族や従業員以外にバトンタッチする第三者承継を支援する。同日、5機関の代表が水戸市内で締結式に臨み、協定書に署名した。

立ち上げの背景には、人口減少、高齢化、後継者不足などの問題がある。常陽銀行が4機関に連携の相談を持ちかけ、昨年から意見交換、協議を重ねてきた。

連携により①顧客のニーズに応えるための相互協力②事業者間のマッチング実施③5機関内でのM&Aに関する情報交換、機能やノウハウの共有-などに取り組む。事業者の情報は事業者側の同意を得た上で共有する。

M&Aで譲渡した側(売り手)には、M&A成約後の新事業の手伝いなどにも関わり、アフターフォローに力を入れる。窓口となる事務局は、常陽銀行と筑波銀行が共同で担当する。

中小企業基盤整備機構の調査では、2022年度の全国の事業承継・引継ぎ支援センターへの事業承継に関する相談者数は、2万2361人で過去最高を記録。第三者承継の成約件数も1681件と、同じく過去最高となった。

組織を代表して常陽銀行の秋野哲也頭取は「後継者がいない事業者が増えているのが現状。最適な課題解決法を提供し、多くの事業を継続させたい」、筑波銀行の生田雅彦頭取は「地域の金融機関は丁寧な対応が強み。連携することで、顧客のニーズに合わせたマッチングが可能になる」とそれぞれ話した。

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