希望の職へ多くの学生 県内でも説明会解禁、山形と米沢

多くの学生や求職者が来場した合同企業説明会=山形市・山形国際交流プラザ

 来年2025年春に大学などを卒業する学生の就職・採用に向けた会社説明会が1日解禁となり、本県でも同日、山形市や米沢市で合同企業説明会が開かれた。新型コロナウイルス禍が落ち着いたこともあり、会場では企業担当者の生の声に熱心に耳を傾ける学生の姿が多く見られた。

 山形市の山形国際交流プラザで開かれた「やまがた就活ナビ2025合同企業説明会」(山形新聞社主催)には、製造、金融、自動車販売、マスコミなど18社がブースを構え、自社の魅力をアピールした。

 米沢市営体育館では、山形大工学部、米沢栄養大、米沢女子短大の学生を対象にした説明会が3日まで開かれ、合わせて約380社が参加する。県内だけでなく、勤務地が首都圏や関西圏の企業のブースも並んだ。

 本県の求人倍率は2022年12月をピークに低下傾向にあるものの、山形労働局は「人手不足感は増している」という認識を示している。建設や介護などで特に深刻で、業種による人手不足の程度の差も目立ってきているという。

 参加企業の多くが人手不足を感じる中で、各社とも自社の魅力発信に苦心した。ネッツトヨタ山形(山形市)は「複数の自動車ディーラーの中から選んでもらうため、経営理念や地域貢献活動などをしっかり伝えたい」と力を込めた。ティスコ運輸(同)は物流の「2024年問題」も控え、4年前から新卒採用を開始し、交流サイト(SNS)での情報発信にも力を入れる。升川建設(河北町)は文系学生に対するPRにも注力する。東北パイオニア(天童市)は若手社員が説明役を担い、会社の雰囲気を学生に伝えた。

 学生側からは「地元で働きたいが、業界や仕事内容はこれから決めたい」という声が多く聞かれた。県内中小企業の採用や人材育成を支援する「やまがたリクルーティングサポート」(山形市)の前盛直人代表は「夏のインターンなど、採用活動は実質的に早期化している。学生にとってはチャンスが増えているが、企業にとっては内定辞退率の上昇も課題になると予想される」と分析する。

学生がブースを回って企業情報を集めた説明会=米沢市営体育館

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