櫻坂46『何歳の頃に戻りたいのか?』、8作連続30万枚超えで首位に 未来へ思いをはせる希望の曲

参照:https://www.oricon.co.jp/rank/js/w/2024-03-04/
2024年3月4日付(2月27日発表)のオリコン週間シングルランキングは、櫻坂46の『何歳の頃に戻りたいのか?』が初週推定約43.4万枚を売り上げて初登場1位に輝いた。これにより、櫻坂46の同ランキングの1位獲得回数は1stシングル『Nobody’s fault』から8作連続で通算8回目。初週の売上でも8作連続で30万枚超えとなり、変わらぬ支持の高さを見せつけた。

前作『承認欲求』より、約4カ月ぶりのリリースとなった『何歳の頃に戻りたいのか?』。作曲には「桜月」や「Start over!」はもとより、欅坂46時代から彼女たちに数々の楽曲提供を行なっている音楽ユニット・ナスカがクレジットされている。これまでにも多彩な音楽性を発揮してきた彼ららしく、歪んだギターで始まるイントロから、中盤にかけての変則的なリズムパート、そしてピアノやストリングスを総動員したシンフォニックなサビと、曲調はめまぐるしく変化。1フレーズに多くのワードを詰め込む歌詞の乗せ方も楽曲に緊張感を与え、メロディアスな大サビのラインとの対比がカタルシスを生んでいる。また、さまざまな想像をかきたてる意味深なタイトルは、そのまま大サビの歌詞でも登場。一見すると過去を懐かしむようなテーマにも思えるが、その実、綴られているのは今を全力で生きるという決意表明だ。〈過去に 戻れやしないと知っている 夢を見るなら 先の未来がいい〉〈こんな今もいつの日か輝くんだ〉という力強い宣言は、聴く者を静かに鼓舞する。これまでにもメッセージ性の強い楽曲を多く発表してきた彼女たちだが、クールで冷静なアプローチを貫きながら切実さや衝動を表現する手腕は、ここにきてますます研ぎ澄まされていっているようにも思える。今回、センターに抜擢されたのは二期生の山﨑天。「五月雨よ」以来のシングルタイトル曲のセンターとなったが、MVではカラフルな衣装に身を包み激しいダンスを披露するなど堂々たるパフォーマンスでグループを牽引して見せた。

また、本作に共通カップリングとして収録されている「何度 LOVE SONGの歌詞を読み返しただろう」は、センターに村山美羽を迎えて三期生をフィーチャーした楽曲。恋する胸の高鳴りをラブソングの歌詞に重ね合わせて、悶々としたり苦しくなったりするセンシティブな経験が、春らしい爽やかな楽曲にのせて綴られる。昨年加入したばかりのメンバーたちとあって、歌唱や表情から見える初々しさやフレッシュさも聴きどころ。加えて、新たな時代を担っていこうとする頼もしさも感じられる楽曲に仕上がっている。

そんな櫻坂46は、本日3月2日より全国4都市8公演をまわるアリーナツアー『櫻坂46 4th ARENA TOUR 2024 新・櫻前線 -Go on back?-』をスタート。昨年は、フランスとマレーシアで開催された『Japan Expo』への出演や、ZOZOマリンスタジアムでの初のスタジアムライブ『3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE』を成功させ、グループとしての基盤を一層強固なものにしてきた。その一方で屋台骨だった小林由依の卒業が大きなターニングポイントをもたらしたのも事実。

このタイミングでリリースされた「何歳の頃に戻りたいのか?」は、そんな経験を経て前に進んでいく覚悟の表れでもあり、まだ見ぬ未来へ思いをはせる希望の1曲でもあるのかもしれない。

(文=渡部あきこ)

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