高校生の就職活動 1人2社、応募可に 早期離職を防ぐ

茨城県庁=水戸市笠原町

茨城県教育委員会は1日、県内高校生の就職活動で、応募先を「1人1社」に限定する現行ルールを見直し、最初から1人2社まで併願を可能にすると発表した。早期離職を防ぐのが狙い。開始は2024年度から。複数社の応募を認めるのは全国5府県目で、関東では初めて。

県教委や経済団体の関係者でつくる県就職問題検討会議が2月に開かれ、協議の結果、1人2社の併願を可能にすると決めた。1人1社を維持する「指定校求人」に応募しないことが条件となる。

高校生の就職活動では、企業が特定の高校に求人を出す指定校求人と、企業が学校を指定せず公開して募集する公開求人の2種類がある。従来のルールでは例年9月から、いずれかの求人に1人1社しか応募できない。内定が得られなかった場合に、公開求人で併願を認めている企業に限り、例年10月から2社に応募できる。

茨城労働局によると、1人1社制は、生徒と企業を効率的にマッチングすることで、就職活動を短期間に抑え、学業への影響を軽減できるとして採用されたという。

労働局は22年10月、県内企業と翌春卒業予定の生徒を対象に、1人1社制についてアンケートを行った。回答企業712社のうち58%は1人1社制を支持。一方、卒業予定1531人のうち51%は複数社の応募を希望した。

労働局は従来のルールについて、就職先を選ぶ生徒の主体性が失われ、選択の幅がないことが早期離職の原因につながっているとみる。担当者は「生徒の就活の可能性を増やし、企業とのマッチングを向上させたい」と話す。

過去10年間で、高校卒業予定者の求職者数は18年3月卒の5031人をピークに減少傾向にある。24年3月卒の求職者数は3638人で最低だった一方、求人数は1万1469人で、求人倍率は最高の3.15倍だった。

文部科学省と厚生労働省は20年、1人1社制の見直しの議論を都道府県に求めた。23年度時点で選考開始から複数社応募を認めているのは、沖縄、秋田、和歌山、大阪の4府県にとどまっている。

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