「タケを差し置いて無謀で軽率」久保建英に蹴らせるべき!3連続PK失敗のソシエダMFを番記者が糾弾。準決勝敗退に「クボの努力は水の泡となった」 【現地発】

「ボールを要求する選手は、他人が状況を解決するのを待つことも、承認要求を他人に求めることも必要としない。他人からの期待に応えるのではなく、自らの基準に基づいてノルマを課して、そしてそれを上回るプレーを見せる。ボールを要求することは、困難な状況に陥ったときの無責任な無謀さや臆病さとはかけ離れた、勇気ある大胆な態度と密接に結びついている。

そしてエリートレベルでのプレッシャーのかかる試合では、勇気は他の選手が足が震える中、ボールを持って責任を取ることができるかどうかで測られる。その点において、タケはソシエダで最も優れた選手だ」

スペインで有名なアナリストの「タケ評」だが、コパ・デル・レイ(スペイン国王杯)準決勝第2レグのマジョルカ戦でもその片鱗を見せた。延長前半開始早々だった。カウンターを繰り出そうとしたタケが、サムエル・コスタに蹴りを入れられた。タケは痛みを訴え、しばらく立ち上がることができなかった。

試合が始まってから初めてアノエタが静寂に包まれた瞬間だった。しかしその後が彼の真骨頂だった。ソシエダのスローインから、マルティン・スベルディアが右サイドに展開すると、ボールを受けたタケは痛みを忘れて音楽のようなクロスを供給。ミケル・メリーノのヘディングシュート、そのこぼれ球に反応したキーラン・ティアニーのシュートいずれもサムエル・コスタにかき出され、ゴールは生まれなかった。

このターニングポイントとなったプレーの数分後、イマノル・アルグアシル監督はタケに交代を命じ、確実にキッカーの1人に選ばれていたはずのPK戦を見守ることを余儀なくされた。

前半終了間際にもターニングポイントがあった。タケのパスで縦に抜けたスビメンディがクロスを入れると、アントニオ・ライージョの腕にボールがヒット 明らかなハンドの反則により、ソシエダはPKを獲得。しかしキッカーを買って出たブライス・メンデスがこれを外し、絶好の先制機を逃した。

メンデスにとっては3回連続となるPK失敗だ。スペシャリストのオジャルサバルがベンチで戦況を見つめる中、タケのような才能とキック力を持った選手を差し置いての行動は無謀で軽率だった。

試合全体を通しては、ホセ・マヌエル・コペテとハウメ・コスタの執拗なマークに手を焼き、タケの見せ場は限られたが、そんな中でも、前述のプレーの他にも、71分にメンデスとのワンツーを完成させてオジャルサバルの同点ゴールをお膳立てし、要所で存在感を示した。

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しかしソシエダは終始決め手を欠いて、試合はPK戦に突入。1人目のキッカーのオジャルサバルが失敗する一方で、GKのアレックス・レミロが1本も止められず、決勝進出を逃した。何とか突破口をこじ開けようと何度も何度も壁にぶつかり続けたタケの努力は水の泡となった。

取材・文●ミケル・レカルデ(ノティシアス・デ・ギプスコア)
翻訳●下村正幸

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