トヨタの新人デ・フリースが大仕事、逆境のなか予選2番手確保。8号車はタイヤに異変/第1戦カタール

 TOYOTA GAZOO Racing(TGR)が参戦しているWEC世界耐久選手権は3月1日、中東カタールのルサイル・インターナショナル・サーキットで、2024年シーズン開幕戦『カタール1812km』の公式予選が行われた。2日(土)に実施される決勝レースのスターティンググリッドを決定する同セッションでは、“ルーキー”のニック・デ・フリース駆る7号車トヨタGR010ハイブリッドがフロントロウ2番手を確保した一方、姉妹車8号車GR010ハイブリッドは一次予選で敗退。11番手から追い上げを図ることとなっている。

 戦前に発表されたBoP(バランス・オブ・パフォーマンス=性能調整)の影響もあり、週初めに行われた公式テスト“プロローグ”から予選前に設定された3回プラクティスまで、いずれのセッションでも苦戦を強いられてきたTGRの躍進は、今年初めての予選におけるひとつのサプライズだった。

 今季のWEC予選は、これまでル・マン24時間レースでのみ採用されていた“ハイパーポール”をシーズン戦でも取り入れている。トヨタが参戦するトップカテゴリーでは全19台のマシンが12分間の予選セッションを戦い、その中から上位10台がハイパーポールに進みトップ10グリッドを決するかたちとなる。

 16時20分から行われた一次予選で2番手タイムを記録したデ・フリース駆る7号車(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/デ・フリース組)は、続くハイパーポールでも激しいポールポジション争いを展開。10分間のセッションのなかで2度にわたってトップに立ち、終盤までその座を守ってみせた。しかし最終的には5号車ポルシェ963(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)にかわされ、0.017秒及ばず2番手となっている。

ポールポジション争いを繰り広げたニック・デ・フリース(7号車トヨタ/右)とマット・キャンベル(5号車ポルシェ/左) 2024年WEC第1戦カタール1812km

 7号車が躍動した一方、セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮組8号車は苦戦を強いられた。予選は昨年も2度のポールポジションを獲得しているハートレーが担当したが、惜しくも11番手でハイパーポール進出ならず。同車は終盤まで進出圏内につけていたものの、チェッカー後にタイムを更新した車両に押し出されるかたちで11番手に。10番手とのタイム差はわずか0.017秒だった。

 なお、8号車は予選の序盤にタイヤに問題を抱えていたという。「我々8号車にとっては難しい一日になった。わずか数周で左側のタイヤを大きく摩耗してしまい、ラップタイムを上げることができなかった」と説明したハートレー。

「こんなことになるとは思わなかった。残念ながら、僕たちは11番手からのスタートとなり、タイヤも完全に使えなくなってしまったので1セット減ってしまった。タイヤに何が起こったのか、何故目指したタイムが出せなかったのかについて分析し、解明する必要がある」

TOYOTA GAZOO Racingの8号車トヨタGR010ハイブリッド(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮組) 2024年WEC第1戦カタール1812km

 TGRのレギュラードライバーとして初めて臨むレース、当然初めてとなるハイパーカーでの予選を任され、いきなりフロントロウを獲得したデ・フリースはこの結果を喜ぶひとりだ。

「誰もが我々のパフォーマンスには少し驚いていると思う。とくに今週はプロローグ、公式練習と苦戦を強いられていただけに、開幕戦で最前列グリッドを獲得できたことは本当に嬉しいよ」と29歳のルーキー。

「チーム全員が懸命な努力で改善を進めてくれたので、あとは決勝でそれを活かすだけだ。10時間と長いレースなので、クリーンなレースを心掛けて行く必要があるが、まず最前列からスタートが切れるというのは良いことだ」

 その決勝は現地2日・土曜11時(日本時間17時)からレース距離1812km(最大10時間)で争われる。この1812という数字は、開催地であるカタールの建国記念日12月18日にちなんだものだ。

8号車トヨタGR010ハイブリッドの予選アタッカーを務めたブレンドン・ハートレー(TOYOTA GAZOO Racing) 2024年WEC第1戦カタール1812km
トヨタGR010ハイブリッド(TOYOTA GAZOO Racing) 2024年WEC第1戦カタール1812km

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