名物「ぴよりん」はどうやって作られている? 製造工場に潜入 人気のため生産追いつかず、新工場に移転

名古屋の定番スイーツ「ぴよりん」

累計販売数が300万個を突破した名古屋生まれのスイーツ「ぴよりん」。名古屋駅構内の「ぴよりんSTATIONカフェ ジャンシアーヌ」では連日ぴよりんファンの大行列ができています。あまりの人気ぶりに製造が追いつかず、新工場を作ったのだとか! 特別に新工場に潜入させてもらいました。

ぴよりんの新工場「ぴよりんアトリエ」は春日井に

高架下にすっぽりと収まっている「ぴよりんアトリエ」

これまで「ぴよりん」は名古屋駅の敷地内で作られていましたが、新工場があるのは春日井市。JR勝川駅から徒歩すぐ、高架沿いにある三角屋根の建物です。入り口のポストに書かれていたのは「ぴよりんアトリエ」。なんともかわいらしいネーミングの新工場は、2024年2月から稼働をしています。

何層にもわたる繊細なスイーツ

大量生産が難しいという「ぴよりん」。理由は、ぴよりんの複雑な構造にあります。外側はババロア、中はプリン、そして土台はスポンジケーキ。味や食感に変化をつけられるように、さまざまな工夫を凝らしています。1つ1つに手間がかかっているからこそ、大量生産が難しいんです。

新工場では、今後はスタッフを20人から35人に増やして生産数の倍増を目指しているそう。まずは、ぴよりんの胴体作りからのぞいてみます!

濃厚な名古屋コーチンの卵でプリン作り

見るからに濃く上質な名古屋コーチンの卵

最初に行うのはプリン作り。まず両手に卵を持ち、次々とボウルに割っていきます。使用するのは、愛知県の特産・名古屋コーチンの卵のみ。濃厚でコクとうま味が強いのが特徴です。これをミキサーにかけるとトロットロに!

ザルで卵液を濾して滑らかにする

卵液に砂糖を加え、丁寧に混ぜ合わせたらザルの中に流し込んでいきます。ダマなどを濾(こ)すことで、より滑らかな舌触りに仕上がります。ザルの下には牛乳が入っていて、砂糖入りの卵液と混ぜ合わせたらプリンのモトの完成です。

ぷくっと膨れたおいしそうなプリン

先にカラメルを仕込んでおいた型に、プリンのモトを注いでいきます。そして約150度のオーブンで15分間蒸し焼きにしたら、ふっくらした焼きたてプリンの完成です。そして、そのまま冷凍庫へ。凍らせる理由は後ほど紹介します!

経験が光るフワフワなババロア作り

味の決め手になるアングレーズソース作りへ

続いて着手するのは、ぴよりんの外側のババロアづくり! ぴよりんのプルプル食感を生み出す、最も大事な工程です。まずは卵に牛乳やバニラビーンズなどを加えた、通称・アングレーズソースを作ります。ゼラチンを入れ、火にかけながら丁寧に溶かしていきます。

氷水で適度に冷やして、フワフワ感を調整

途中、氷水の上に移しましたが、ここにも理由が。アングレーズソースには生クリームを加えるのですが、ソースが冷えていないと生クリームの気泡が崩れ、ふわふわ感が損なわれてしまいます。固まり過ぎてもサラサラ過ぎてもダメ。ちょうど良い塩梅は、従業員さんの経験を頼りに成り立っているのですね。

カチコチのプリンがババロアの中にすっぽり

完成したらしぼり袋で型に移していきます。ここで登場するのは、冷凍庫で冷やしておいたプリン! カチコチに凍っているため、ぴよりんのお腹にきれいに収めることができました。これがぴよりんの胴体になります。最後にババロアでフタをして中に閉じ込めたら、ふたたび冷やして固めていきます

一瞬ぬるま湯につけて、スポンと取り出し

冷やしたぴよりんの胴体は、ぬるま湯につけて外すことで抜けやすくなるのだとか! ぬるま湯にくぐらすことで、ババロアの表面が少しだけ溶けて、型から抜けやすくなるのです。ただし、これも塩梅が大事。溶かしすぎないのが肝なのだそうです。

これで「ぴよりん」の胴体が完成! 1つ1つ手作業で丁寧に作られるからこそ、「ぴよりん」独特の食感やおいしさが生み出されているのですね。

© テレビ愛知株式会社