梅など枯らす外来カミキリに効果 薬剤2種、和歌山県うめ研究所が発表

薬剤を散布した枝とクビアカツヤカミキリの成虫を入れた容器(和歌山県うめ研究所提供)

 和歌山県うめ研究所(みなべ町東本庄)は、梅などバラ科の木を枯らす特定外来生物クビアカツヤカミキリに対する薬剤の防除効果に関する研究成果を発表した。「モスピラン顆粒(かりゅう)水溶剤」は成虫に効き、「アグロスリン水和剤」は産卵抑制の効果があるという内容になっている。

 伐採した梅の枝5本それぞれに異なる薬剤を散布し、別々の容器に入れた上で、各容器に雄3匹、雌2匹の成虫を入れて効果を測る作業を繰り返した。樹幹への散布を想定した。

 このうち、2千倍に希釈した「モスピラン」を散布した枝を入れた容器では、4日後までに成虫の9割以上が死に、他の薬剤よりも死虫率が高かった。

 産卵を抑える効果は、同じ容器内で産卵した数を実際に数えて測った。2千倍に希釈した「アグロスリン」を散布した枝への産卵数の平均は1.7~3.7個と、ごくわずかだった。他の薬剤では、多いもので160個ほどあった。

 「モスピラン」は梅に使え、クビアカツヤカミキリも適用害虫に入っている。一方、「アグロスリン」は梅には使えるが、クビアカツヤカミキリが適用害虫になっていないため、研究所は「メーカーと協議して適用拡大に努めたい」としている。

 クビアカツヤカミキリの成虫は春から夏にかけて活動し、木の幹や割れ目に産卵する。卵は10日前後でふ化し、幼虫が木の内側へ入って食害する。幼虫は木の中で1~3年成長する。

 被害は、フラス(木くずと幼虫が排出するふんの混ざったもの)から分かることが多い。うめ研究所の裏垣翔野さん(26)は「春になると幼虫も活動時期に入る。フラスが出ていないか気を付けてほしい」と話している。

 県内での被害は、2019年11月にかつらぎ町で初めて確認され、紀ノ川筋の市町で拡大した。23年5月には御坊市でも見つかり、御坊・日高の3市町に広がったため、県などは警戒を強めている。

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