紀州のドン・ファン遺言訴訟、6月に判決 遺族が無効確認求めた裁判が結審、和歌山地裁

和歌山地裁(和歌山市)

 「紀州のドン・ファン」と呼ばれ、2018年5月に急性覚醒剤中毒で死亡した資産家の野崎幸助さん(当時77歳)が生前に書いたとされる遺言書について、親族が無効確認を求めた訴訟は1日、和歌山地裁(高橋綾子裁判長)で結審した。6月21日に判決が言い渡される予定。

 遺言書は13年2月8日付で、「いごん 個人の全財産を田辺市にキフする」と赤ペンで手書きされた紙1枚。親族側は、野崎さん自身が作成したものとは考えられず、市へ遺贈する合理的な動機が見当たらない、などと主張した。

 被告は遺言執行者の弁護士で、棄却を求めた。市が補助参加しており、野崎さんは遺贈の意思や動機を持っていたと主張した。

 市が遺贈を受ける方針を明らかにしたのは19年9月。この時は、野崎さんの財産が約13億円としていた。以降、市は弁護士委託料などを予算化。24年度当初予算案には計9832万円を盛り込んでいる。

 民事訴訟法の改正に伴い、1日の口頭弁論はウェブ会議方式で開かれた。原告側の代理人弁護士らがオンラインで参加した。

 野崎さんの死亡を巡っては、元妻(28)が殺人罪などで起訴されている。

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