“会心”の前半と“我慢”の後半 古江彩佳は初の最終日単独首位スタートへ

米ツアー2勝目へ単独首位(撮影/村上航)

◇米国女子◇HSBC女子世界選手権 3日目(2日)◇セントーサGC タンジョンコース(シンガポール)◇6775yd(パー72)

2連続バーディ発進から、5番(パー5)ではベタピンのウェッジショット、7番(パー3)では10mのフックラインを流し込んだ。バーディ以外も惜しいパットを連発。4つ伸ばして単独首位に立った古江彩佳の前半は「会心だった」と自画自賛するほど圧巻の内容。しかし、後半は一転してピンチの連続だった。

10番で1Wショットが大きく右へ。右サイドのピン方向は木が邪魔になり、ドローヒッターの古江は「絶対に狙えなかった」。グリーン左奥にこぼれるのは想定内でも、セカンドがフライヤーで飛びすぎてアプローチの距離が残った。58度のウェッジを握ってイメージしたのは、ボールを低く出さないこと。カラーでワンクッションを使い、あとは傾斜で寄せる完璧な一打でナイスパーを拾った。

11番も1Wが左に飛んで肝を冷やし、12番で最初のボギー。「気分転換」で使うボールをスイッチした13番(パー5)でバウンスバックを決めても、試練が続く。

スコールとともに訪れた大ピンチも乗り切った(撮影/村上航)

東南アジアらしいスコールに見舞われた16番(パー5)では、3打目をグリーン左奥にこぼした。ボールには泥が付き、雨が降ったグリーンコンディションの変化も頭に入れなければならないシチュエーション。10番と同じ58度で、今度は「パンチショット気味」に打った。上から垂れるヤシの葉が邪魔になり、芝もあまり生えていない厄介なライ。ボールを上げようとしてミスするリスクを考慮した絶妙な寄せで「うまく距離感を合わせられた」とうなずいた。

勝利のカギは一打への集中力(撮影/村上航)

米ツアーで首位に立って最終日を迎えるのは2022年「ポートランドクラシック」以来。単独トップでは初めてとなる。最終日最終組は1月「ドライブオン選手権」に続いて今季2度目だ。今回はトーナメントを引っ張る立場でもある。

「スコアを意識せず、ショットに集中っていうのがうまくできたから、きょう最初に伸ばしていけたと思う。悔いが残らないように、しっかり上を目指して、しっかり集中して頑張りたい」。直近の成功体験をよりどころに、2022年「スコットランド女子オープン」に続く2勝目をつかみにいく。(シンガポール・セントーサ島/亀山泰宏)

いい時も悪い時も冷静に(撮影/村上航)

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