ベッドに縛り付け、勝手に財産処分…増える高齢者虐待 家族の介護疲れ一因、防ぐ手立ては

滋賀県庁

 滋賀県は、2022年度の県内の高齢者虐待に関する調査結果をまとめた。相談・通報件数は682件と過去最多となった。家族の介護疲れが引き起こすケースは依然多いとみており、「相談窓口の周知などを通じ、ストレス軽減につなげたい」としている。

 相談・通報の内訳は、家族や親族が加害者となったケースが前年度に比べて48件増の657件、特別養護老人ホームなど施設職員による加害が同3件増の25件だった。このうち市町による確認で虐待と判断されたのは同15件増の322件だった。

 家族や親族から虐待を受けた人の総数は316人。女性が7割超を占め、年齢別は80~84歳、85~89歳、75~79歳の順に多かった。認知症もしくは疑いがある人の割合は66.5%だった。加害者については息子が37.1%と最も多く、夫の23.2%と合わせて男性による行為が目立つ結果となった。

 行為の種別(複数回答)は、たたく、ベッドに縛りつけて拘束するなどの身体的虐待が62.3%、怒鳴るなどの心理的虐待が38.6%、介護放棄が20.3%だった。財産を勝手に処分するなどの経済的虐待も15.2%あった。

 相談・通報者はケアマネジャーが4割超を占め、身近な介護関係者が市町の担当課などに連絡して発覚するケースが多かった。県医療福祉推進課は「社会福祉協議会による研修の成果もあり、潜在化させることなく虐待の早期発見につながっている」と相談・通報の増加について分析する。

 一方、高齢者が増える中で介護疲れを訴える家族らが増えていることから、「介護の経験者同士が交流できる場を増やすなどして負担を和らげていきたい」としている。

 調査は厚生労働省が高齢者虐待防止法に基づき、06年度から毎年実施している。

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