一流職人の技術に惚れぼれ 大正・昭和時代に作られた着物など展示 気品ある圧巻の光景/岡山・真庭市 

「勝山のお雛まつり」(1~5日)に合わせて、御前酒蔵元・辻本店の企画展「衣裳蔵長持のきものたちIV」が1日、岡山県真庭市勝山の同店奥座敷・如意山房で始まった。創業220年目になる蔵元に受け継がれてきた豪華な品々が訪れて人たちを魅了している。5日まで。

大正、昭和時代に作られた特注の雛人形や着物を中心に、「衣裳蔵」(国登録有形文化財)に保管されていた約100点を展示。風流を好んだといわれる4代目当主・辻源一郎氏の長女の初雛をはじめ、5代目当主夫人・美津子氏の華やかな婚礼衣装などが屋敷内にずらり。

このうちの一つ、1935(昭和10)年ごろに源一郎氏の次女が嫁ぐ際、京都の呉服屋に頼んだ「黒地振袖菊づくし」は、大正~昭和期の日本画家・土田麦僊の下絵をもとに職人が腕前を発揮した唯一無二の逸品。絹糸や金糸で縫われた菊や松の柄が際立ち、時代を経ても色あせないきらびやかさを保つ。

近隣に住む山浦芳枝さん(70)は「着物一点一点にしぼりや刺繍などが丁寧に施されており、気品があって美しい。当時の一流職人の技術の集大成が詰まった着物や品物が並ぶ光景は圧巻」と話していた。

大切に保管されていた雛人形

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