武尊が現役続行に意欲 ONEの運営裏話も語る「今、これを踊るとバズるからと」敗戦後初の取材対応

キックボクサーの武尊(32)が2日、現役続行への意欲を口にした。都内で自著「武尊 ユメノチカラ」(徳間書店)の発売記念イベントで、現在の夢を問われ「早くケガを治して、復帰戦をやることですね」などと語った。スーパーレック戦を振り返るとともに、当日までの裏話、負傷箇所の状況を明かした。

ONE165(1月28日、東京・有明)でスーパーレック・キアトモー9とのタイトル戦に臨み、5回判定負けを喫して以来、初めて報道陣の前に姿を見せた武尊。上半身を使った練習は既に開始。腿と腕の筋断裂はほぼ癒えたが、左膝骨折は全治2~3カ月。通常練習まではあと3カ月ほどはかかる見込みという。年内復帰を「気持ち的にはやりたいですね」と示し、目標の対戦相手には「ゆくゆくはロッタンと。ずっと決まっていた試合だったので」と語った。

同大会では当初、ロッタン・ジットムアンノン戦が予定されていたが、試合3週間前にスーパーレックに変更。試合後はダメージが大きく病院に直行し、SNS等で腿の筋断裂、左膝を骨折したことを明かしていた。この日は「プロで初めて完敗したと思った。今まではどこかで負けていない、あと1ラウンドあったら勝てていた、と思っていた。悔しさよりも、もっと強くなりたいと思うきっかけになった」と話した。

トークイベントではONEでの裏話も明らかにされた。12月にロッタンが腕を吊る写真がネットに流れた際を思い返し、「ONEに『大丈夫ですか』と聞いたら『昔の写真だから大丈夫』と言われた。ところが本当だったという…いろいろありますね」と苦笑い。スーパーレック戦が決まり「もうスパーリングを終えていて、肋骨も少し痛めていた。そこからスーパーレック対策のスパーリングはできないので、今までやってきたことを出そう」と、当日を迎えたという。

試合については「強い選手だった。3ラウンドにボディを効かせて、外国人選手はメンタルが落ちる選手が多いんですけどスーパーレックは心が折れなかった。効いているのは感じたが、僕も効いていた、お互いがギリギリ。おそらく1ラウンドで膝の骨が折れていたので、パンチも強いのを打ちたいけれど打てない状況。4ラウンド目からは足の痛みで意識が落ちそうだった。頭を殴られて(意識が飛びそうな経験)はあったが、ローキックで足が痛くて意識が飛びそうなのは初めてだった。あそこまでローキックが来るとは思わなかった。対策をしていたミドルがほとんどなくて…強かったですね」と振り返った。

試合後はネット上でローキックをカットしなかったことについて論争が起こった。トレーナー、セコンドらへの批判の声が上がったことを受け、武尊はネット上で反論した。1回の序盤にローキックを膝でカットした際に、強い違和感を覚えた。「1ラウンドに膝でカットしたときに、膝が折れていた。これ以上膝でカットをしたら、立っていられない感覚があった。腿で耐えようとした作戦は自分で決めた」と、改めて説明した。

K-1とONEの運営方針の違いは大きく感じたという。

「スケジュールはONEの方が大変でした。1週間前でもメディカルチェックなど、練習時間が取れない位に呼び出される。海外メディアのインタビュー、試合前に公開練習を何回するのか、というくらいやったし、会見もやった。TikTokの撮影は減量の一番キツいときでした。今、これを踊るとバズるからとダンスをさせられました。サインもめちゃくちゃ書きました。1000近く書いて、減量中に何回書いても終わらなかった。(この日のサイン本は)100冊ぐらいなのでちょろいですね」と苦笑をまじえながら、明るく振り返った。

同著は武尊が人生で学んだ思考法、メンタル術などが、当時の経験とともに記された。「本を読んで、生き方だったり精神的なところで何かプラスになってもらえれば」と話していた。

(よろず~ニュース・山本 鋼平)

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