衆院予算委、土曜に集中審議 政府・与党の司令塔不在を露呈、首相に指導力なく混乱拍車

国会議事堂(資料写真)

 2024年度予算案の採決を巡り与野党が激しく対立した衆院では1日深夜、2日の土曜日に予算委員会を開いて集中審議と締めくくり質疑を行うことで一転合意した。小野寺五典予算委員長への解任決議案などを連発した野党第1党・立憲民主党の戦術に批判が上がる一方で、自民党と官邸(政府・与党)の司令塔不在も露呈。岸田文雄首相に指導力が欠如していることも混乱に拍車をかけており、ガバナンス(統治能力)を失った内閣の行方が見通せなくなってきた。

 立民は鈴木俊一財務相の不信任案(否決)に続き山口俊一議院運営委員長の解任案も出す構えだったが、与党が折れて徹夜国会を避けた格好だ。この日の予算委は立民の江田憲司氏(8区)、早稲田夕季氏(4区)ら野党の16人が立ち、昼食休憩なしの5時間ぶっ通しで行われた。

 トップバッターの江田氏は「80時間がめどの審議時間が69時間にしか達していないのに、予算委員長が職権で採決を決めた。総理が指示したのではないか」と追及。「直接指示したことはない」との首相答弁に野党席から「えーっ」とどよめきが起きた。「指示したことはまるでない」との重ねての否定に「政倫審の安倍派幹部?」とのやじが飛んだ。自民の予算委委員からは「はしごを外された」とのぼやきが漏れた。

 予算案は2日までに衆院で可決すれば30日以内の自然成立が確定する。しかし2日が土曜日であることから、小野寺委員長は1日での決着を目指した。日程などを巡って「官邸からは与党国対に対して明確な要請や指示は行われなかった」(自民幹部)という。

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