快適なはずの季節を邪魔する「春の5K」とは?知っておきたい豆知識を気象予報士が解説

「春の5K」というフレーズを聞いたことがあるでしょうか。

3Kにしろ5Kにしろ何となくイヤなものなのかな…と想像がつくかもしれませんが、春という本来すごしやすいはずの季節の大敵となる要素がたまたま「かきくけこ」から始まる単語であることから、テレビやネットで使われるようになった言い回しです。

5Kとは具体的に何なのか?できるかぎり5Kに邪魔されずに快適に春を過ごすには…??

気象予報士・防災士・野菜ソムリエとして活躍する植松愛実さんに教えてもらいます!

「春の5K」とは?

「春の5K」とは、花粉・乾燥・強風・気温差・黄砂のこと。

いずれも、たしかに春になると増えるなぁと納得する人の多いものばかりではないでしょうか。奇しくもすべてカ行の単語です。

花粉については皆さんご存じのとおり、例年2月頃からスギ花粉の本格的な飛散が始まり、4月頃にはヒノキ花粉にバトンタッチして大型連休頃まで続きます。

また乾燥についても実際に肌で感じている人が多いと思うので、以下では強風・気温差・黄砂について詳しく見ていきます。

あなどれない!春の「強風」

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冬の間も風が強い日はもちろんありましたが、春の強風がやっかいなのは、突然風の向きや強さが変わることが多い点です。

冬であれば、風が強いのはほとんど、天気予報でよく聞く「冬型の気圧配置」によるものなので、いわゆる北西の季節風が吹くことになり、風向きはあまり大きく変わりません。

一方で、春は日本付近で低気圧が急発達することが多くなり、急に風が強くなったり、低気圧の進路によって風向きが変わったりして、事故やケガにつながりやすいのです。

天気予報を見るとき、晴れや雨はマークに描かれても風は描かれないので、マークだけでなくコメントをしっかり聞いておくのがおすすめです。

複数の「気温差」に立ち向かう春

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春の気温はまるでジェットコースター。

暖かい日がやってきて「ようやく春本番だなぁ」と思っていたら翌日、霜が降りるような冷え込みになることもしばしば。

また、日々の気温差だけでなく、1日の中での気温差も大きくなります。朝晩と日中との気温が15度以上開くことも珍しくなく、場合によっては差が20度を超えることも。

こういった気温変化は知らず知らずのうちに体に負担をかけ、免疫が弱まって病気にかかりやすくなってしまいます。体への負担を減らすために、着たり脱いだりできる重ね着の服装を何種類か用意しておいて、ジェットコースターな気温に対処できるようにしておきましょう。

「黄砂」が春に多い理由

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黄砂は、大陸にある砂漠の砂が上昇気流に巻き上げられ、風に乗って日本までやってくる現象です。

この上昇気流の原因となる低気圧が、春になると砂漠付近で発達しやすくなるため、春は黄砂が多い時期。
そのため、日本で黄砂が観測される回数は、例年2月頃から急増し、4月にピークを迎えるのです。

黄砂は洗濯物についてしまうと花粉以上に取れにくいですし、車を汚してしまったり、吸い込むと器官をキズつけてしまったりします。

おおむね5月頃まで飛来回数の多い状態が続くため、この期間は天気予報で黄砂の情報にも耳を傾ける必要があります。

春の快適さを奪う5Kに賢く対処しよう

春はさまざまな「やっかいもの」と対峙しなければならず、ただでさえ慌ただしい時期に大変ですよね。ただ、現代ではそのほとんどが事前に予測できるものになっていて、情報さえ手に入れば対処可能です。

テレビやネットの天気予報でもいいですし、天気系のアプリはだいたいどれも必要な情報が見られるようになっています。

情報を手に入れて賢く対処することで、少しでも春を快適にすごしましょう!

■執筆/植松愛実さん
気象予報士と出張料理人の両面で活動中。気象・防災に関するヒントのほか、野菜ソムリエ・食育インストラクターとしておいしい食材のおいしい食べ方を発信中。インスタグラムは@megumi_kitchen_and_atelier。

編集/サンキュ!編集部

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