「嫌味」が多い夫とどう付き合うか?中高生の子どもに父親面で説教とは「嫌味な大人だなと思う」

子どもが成長して、あまり頼りにされなくなったとたんに威張りだした夫、知ったかぶりと後出しジャンケンをする夫。家族の心に小さな棘を繰り返し刺すことになる。これが、つもりつもったときにどうなるのだろうか。

夫婦は長く連れ添うものだから、常に仲良くしていられるわけではない。そのときの状況や環境によって、「もうこの人とは添っていけないかも」と思うこともあるだろう。

嫌味発言が多い夫

結婚当初は優しい夫だった。長女が生まれてからも、面倒見のいいパパだった。共働きで忙しかったナオミさん(48歳)も、そんな夫に頼ることが多かった。 だが結婚して17年、長女が高校生、長男が中学生になった今は少し様子が違う。料理が大好きな長男は率先して食事を作ってくれるし、長女は流行を母に教えてくれる。夫を頼ることが知らず知らずのうちに減り、子どもたちから新しいことを吸収するようになっていた。 「子どもたちが大きくなって、ちゃんと話ができるのが私は楽しくてたまらない。でも夫はいつまでも『親面』をしたがるんですよ。もちろん、ふたりともまだ未成年だし、私たちが責任をとらなくてはいけないこともあるけど、もう彼らの好きなようにやらせることも大事だと私は思ってる。 対等な人間同士として話し合うことも重要だし。でも夫は『ナオミは親としての自覚に欠ける』と言うんですよね。自分が子どもたちと対等に話せないからいじけてるだけだと娘は言っていますね」

偉ぶる夫、娘からも辛らつなダメ出しが

つい先日も、息子のオーダーでフードプロセッサーを購入した。ナオミさん自身、以前からほしかったのだがなかなか買うきっかけがなかったのだ。息子がほしいと言ったおかげで、じゃあ買おうということになった。 「どれを買うか、息子に調べてほしいと頼んだんです。すると彼はネットであれこれ見比べ、次に店頭でいろいろ質問してきて、最終的に仲良くなった店員さんから買いたいと。大人になったんだなと感心したけど、夫は『本当に大丈夫なのか』と疑心暗鬼。私は息子を信用していましたよ」 息子は買ってきたフードプロセッサーを、取説を見ながらあれこれと確認していた。そしていざスイッチを入れて……。 「楽しそうな息子を見ているだけでおもしろかった。その日の夕食は息子がフードプロセッサーを駆使して作ってくれるというので任せました。夫は息子が調理している間、取説を見ながら『おい、そんな使い方していいのか』『そんなに時間かけてやったらいけないんじゃないか』とうるさいうるさい。 『僕、もう取説は頭に入ってるから放っておいて』と息子に言われて、『だけど使い方が違うんじゃないか』とさらにしつこい」 娘に「取説見てからやっているのに、どうして今ごろ見てあれこれ文句言ってるの、意味不明」と言われて、夫は意気消沈。そう、何でもあとから知って、前から知っていたかのように偉そうにするのが夫の癖なのだという。 「以前はそんなことなかったんですが、子どもたちが大きくなってから、そういう嫌味なことをするようになった。でも子どもたちはもう見抜ける年齢だし、パパの表面的な威張り方にうんざりしているし、私は私で嫌味な大人だなと思ってるし。 夫にとって何もいいことがないのに、どうして『父親面』ばかりしたがるのかわからないんですよね」 自然と妻子は夫から気持ちが離れていく。夫にそういう自覚があるのかないのか。いつになったら子どもたちと同じ目線で話すのだろうと、ナオミさんは案じている。

後出しジャンケン的なことばかりする夫

「うちの夫は、後出しジャンケンが多いんですよね」苦い顔でそう言うのはユイコさん(42歳)だ。8歳のひとり娘と、夫の母との4人で暮らしている。 「去年の秋、私、帯状疱疹にかかってしまったんです。仕事が忙しかったので、疲れがたまったんでしょう。すると夫は『だから気をつけろって言ったじゃん。体が弱ると帯状疱疹にやられるんだよ』って。いや、あなたからそんなふうに言われた記憶はないけどと言ったら、『おふくろにワクチン打たせた?』って。 知らないと答えると、『50歳以上はかかりやすいんだから、おふくろに打たせておけって言ったよね』と。帯状疱疹のワクチンの話なんか、家でしたことないでしょ、しかも今、痛くて横になっている私に言うこと? 思わず追っ払いましたよ」

夫からのちょっとした嫌がらせ

人が苦しんでいるところへ来て、今までしたこともない話を、あたかもしてきたように言う夫、頭のネジが歪んじゃったかと思ったとユイコさんは皮肉を飛ばす。 「知ったかぶりと後出しジャンケンがかぶったような、妙な性格なんですよ。結婚前は、この人、けっこう博識かもと思ったんですが、あれは私の見る目が間違っていただけのことだと今は思っています。自分の見る目が違っていたんだから、夫を恨むわけにもいかないんですが……。 義母がよくできた人で、『自分だけが何でも知っているような顔をするのはやめなさい』と面と向かって言ってくれるから、まだすっきりするんですけどね。義母がいなかったら、とっくにこの家庭は崩壊しています」 こういうふうに夫の「ちょっとした嫌がらせ」「ちょっとした居丈高な言動」は、本人が意識しているかどうかは別として、家族の心に小さな棘を差し込んでくるものだ。だからこそ、早めに指摘して、本人に気づかせることが重要かもしれない。

亀山 早苗プロフィール

明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。 (文:亀山 早苗(フリーライター))

© 株式会社オールアバウト