真夜中の市役所、白と黒の異空間に100人 群馬・前橋市でアートイベント

真夜中の前橋市役所に映し出された映像

 アートの力で群馬県前橋市の歴史や文化を掘り起こそうと、同市の電気工事会社、ソウワ・ディライトの渡辺辰吾社長(47)が3日未明、前橋市役所でプロジェクションマッピング「doors 2024」を実施した。1階ロビーが、過去の前橋を表現する白と黒の光に包まれた他、香りや音など五感に訴える演出に、訪れた約100人が魅了された。

 初代前橋市長の下村善太郎の胸像と、「意思決定」の風景を表す二つのドアに光の映像を投影。新たな時代の始まりだった市役所ができる当時の活気や気配を表現した。渡辺さんは「効率化が図られる無機質な時代に、何かが生まれる有機的な部分を表現をしたかった」と話した。

 会場では、香りによる空間演出を手がけるセンティングデザイナーの深津恵さん(51)=東京都=が空間や光から着想を得て、植物から取った11種類の香料をベースに作った2種類の香りが広がった。「レコードに針を落とした時」や「胎動」など、「始まり」にまつわるさまざまな音も編集して流された。

 2日にアーツ前橋を中心に始まった「前橋の美術2024 ―やわらかなバトン―」の出品作品。「doors」は20年開催の「前橋の美術2020」に出品し、7日間の上映予定だったが、コロナ禍で1日のみとなったため、7年計画で毎年開き、今年で5回目。

深夜の展示にも関わらず、100人の来場者があった
渦の模様のような映像も
2枚のドアを興味深そうに見つめる来場者

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