【リニア】意見分かれるボーリング調査 流域10市町「前向き」、川勝知事は「慎重」、静岡市長は…

リニア問題を巡り、静岡県の川勝平太知事と大井川流域自治体のトップの間に、考えのズレが露見していますが、静岡市の難波喬司市長も28日、知事の姿勢とは異なる見解を示しました。

難波市長はボーリングに関する言及避ける

静岡市 難波喬司市長:「ボーリング調査については、我々何とも申し上げる立場にはないので」

リニア中央新幹線のトンネル工事の”前段階”として行われる「ボーリング」。静岡市の難波市長は、28日の定例会見で、ボーリングに関する言及を避けました。

大井川流域市町は「前向き」

25日、大井川流域10市町のトップと、JR東海との間で行われた意見交換会。島田市の染谷絹代市長は、ボーリングについて前向きな発言をしています。

静岡・島田市 染谷絹代市長(25日):「流域の総意として、モニタリングや高速長尺先進ボーリングについて、流域はどちらも早く着実に進めてもらいたい」

川勝知事は「慎重」

ところが、川勝知事は…。

静岡県 川勝平太知事(26日):「いったん流出すると、もう戻ってこないので、従ってここは慎重でなくてはならない」

ボーリング調査に前向きな「流域市町」。川勝知事は流域10市町の総意か確認する必要がある、と発言していました。これに対して島田市の染谷市長は28日。

静岡・島田市 染谷絹代市長(28日):「意見交換の最後に『皆さんの総意でよろしいですか』と確認しているので、そこにいた人は同じ考えだった」

難波市長「ボーリングをいつやるか、市が言う話でない」

かつて、川勝知事の側近だった静岡市の難波市長。去年、南アルプスで行われる山梨県内でのボーリングについて…。

静岡市 難波喬司市長(去年6月):「断層破砕帯が心配だというなら、断層破砕帯がある所までボーリングを進めていけばいい」

これは、あくまで山梨工区での話でしたが、なぜ28日は、静岡工区のボーリングについてコメントを避けたのでしょうか。

静岡市 難波喬司市長:「県の副知事時代に、県境付近で掘ったときに、静岡側の水の問題に影響が出る可能性があるという指摘はしましたので、ただ、それが過剰に取り上げられているという印象を私は持ちましたので、従って、ボーリングをいつやるかどうかについて、静岡市が申し上げる話ではないと思います」

「県道トンネル」でも意見分かれる

28日の会見では、静岡市の山間部で建設中の「県道トンネル」についての質問も出ました。リニア工事に関係する車両も「県道トンネル」を利用するため、およそ140億円の整備費をJR東海が全額負担することになっています。

しかし、台風などの影響で、当初「今年度中」の予定だった掘削工事の着手は、夏ごろにずれ込む見込みです。

この事態に、川勝知事は…。

静岡県 川勝平太知事(1月15日):「工事をするための、工事ヤードに行くための準備するべきことがあります。それはJR東海と、静岡市が結んだ、この三ツ峰落合線(トンネル)ができていない。これは三ツ峰落合線を通って工事ヤードに資材等を運ぶという、そのためのトンネルでしょ?」

これに対してJR東海の丹羽社長は。

JR東海 丹羽社長(1月18日)

Q.川勝知事が、トンネル工事が完成しないと。そもそも工事用ヤード整備ができないといっているが?

A.「県道三ツ峰落合線に関わらず、工事ヤードの整備は可能であると考えている」

「トンネルができなくてもヤード建設は可能」という考えです。

そして28日、難波市長は。

静岡市 難波喬司市長:「そこを言うと、そこだけ取られるので、あまり答えたくないんですけど、やっぱり聞かれるとお答えしないといけないと思いますので、ヤード工事とトンネルは関係ないですね。それは、(県道)トンネルが掘れないとヤードに行けないわけではなくて、現にヤードには建設機械がいっぱい入っているわけですから、ヤード整備と三ツ峰落合線のトンネル工事は何ら関係はないと思います」

やはり、川勝知事との見解にはズレがあるようです。リニア問題を巡っては29日、国が新たに設置する初のモニタリング会議が開かれます。南アルプスを守るためには何が最善策なのか? 各方面で今後も議論が続きそうです。

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