『新空港占拠』ついに謎の男・ジェシーの素性が判明 主流派と大河派に分けられた獣たち

人質となる者たちの罪を暴き、その罰は社会に委ねようと考える龍=悠月(高橋メアリージュン)に対し、“本当の裁きを下す”と反旗を翻し、獣=けものではなく獣=けだものになると宣言した鼠=大河(ジェシー)。3月2日に放送された『新空港占拠』(日本テレビ系)の第8話では、ドラマ開始時から“謎の男”としてありつづけた彼の素性がついに判明する。そして同時に、獣たちの結束を根底から覆すような地殻変動がたしかに起きようとしている。

大河に捕えられ、首に時限爆弾を仕掛けられた裕子(比嘉愛未)。獣たちの配信を乗っ取った大河は、それを通して武蔵(櫻井翔)に裕子が一年前に犯した罪を明らかにするよう要求するのだ。即座に動画に映った一室が空港ではないと見抜き、その場所を特定。しかし武蔵が本庄(瀧内公美)と現場に駆けつけた時にはすでに裕子の姿はない。あらためて一年前に裕子に何があったのか調べ始めた武蔵は、彼女が勤めている病院である重要な証言を聞くこととなる。

要人の患者を優先したがために、先に運び込まれてきた患者が命を落としてしまった。そうした命の選別を、過去にもこの病院はしていた――そう聞きつけた武蔵がたどり着いたのは、1年前に裕子の病院に運び込まれた1人の患者。それは第2話で人質だった白河(俵木藤汰)によって自殺に追い込まれた、秘書の新見百花である。やはり大河は浴室で倒れていた百花を発見した、彼女の弟であったというわけだ。ちなみに病院で武蔵に話を聞かれる人物は第1話で裕子に食ってかかった人物でもある。ここにきてドラマ序盤の些細な伏線が重要なファクターとして回収されたとなれば、一気に物語は加速することになるのだろう。

一方今回のエピソードでは、肝心の獣たち主流派はこれといったアクションは起こさず、ひたすらそのなかに潜んでいる裏切り者=すなわち大河派をあぶり出すことに徹していく。大河に協力するために持ち込まれたスマートフォンが発見され、兎=浜松奏(安斎星来)と羊=浜松詩(山本千尋)が大河派であることがわかる。そして資材室に拘束された2人に手を貸すのが、猪=松長(後藤剛範)と鶏=瀬奈(山谷花純)。百花の親友であった瀬奈が、その弟である大河に協力するというのは自然な流れであろう。また浜松姉妹は百首神社で殺された父の復讐のため、松長も浜松姉妹と同様の理由であろうか。

いずれにしても、これではっきりと見えてきたのは、主流派と大河派のほぼ半々に分けられることになった獣たちの対立構造。そして指揮本部内に潜んでいたもう1人の獣=犬の正体が情報分析官の岩槻(白石聖)であることが判明し、今度は三郎のインカムに爆弾が仕掛けられる。三郎の命運は、今度は三郎自身ではなく二葉(奥貫薫)が知っていることを話すか話さないかにかかっている。前回、双子であることがわかった悠月と駿河(宮本茉由)の過去と、30年前に失踪したとされる三郎たちの兄がどのように関係しているのか。プロフィールを見ると悠月と駿河は30歳。彼女たちが健一の娘だという可能性も充分にあり得るだろう。

(文=久保田和馬)

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