リック・オウエンス 2024-25年秋冬ウィメンズコレクション、故郷ポータービルとSF世界への追憶

リック・オウエンス(Rick Owens)は、2024-25年秋冬ウィメンズコレクションをフランス・パリで発表。

故郷のポータービル、父親との記憶

今季のテーマは「ポータービル」。デザイナーのリック・オウエンスが生まれ育った故郷であり、自身の記憶や父親と過ごした思い出がインスピレーション源になっている。特に、テレビを見せなかったという父親から読み聞かせてもらったという『火星のプリンセス』をはじめとするエドガー・ライス・バローズのSF小説や、物語に登場するキャラクターから創作のアイディアを得た。

身体を拡張するフォルム

特徴的なのは、宇宙人を連想させるような身体を拡張するフォルム。起毛感のある中綿入りストールを巻きつけたボディスーツのルックや、突き出したショルダーのロングコートなどがフューチャリスティックなムードを描く。華やかなピンクのドレスは、背面から飛び出した立体的なパーツがシャープな一方、腰回りにはドレープを効かせ流れるようなエレガントなシルエットに仕上げている。

また、ニットの下には、鋭角な肩パッド入りのレザーベストをレイヤード。肩の位置が極端に高く、張り出したパワフルなシルエットを生み出した。繊細なスパンコール生地をチューブ状に巻いて構築したアートピースのようなドレスも目を引いた。

立体的に膨らんだパーツが肩をすっぽりと覆うダウンブルゾンは、キルティングによって有機的な造形に。イエローやボルドー、グレーなど温かみのある色をまとい、斬新な形ながらどこか親しみを覚えるような佇まいに仕上げている。繰り返し登場する厚底ブーツは、中綿やレザープリーツによって膨張。身体にフィットしたタイトなニットウェアに組み合わせることで、より一層存在感を放っていた。

風合い豊かな素材

特殊な加工を施した素材使いにも注目だ。デニムにワックスのコーティングを幾重にも施し、洗いをかけて表面を風化させたレザーライクな質感のトップスや、ふんわりと起毛させたシルクとアルパカの混紡素材を用いたロングコート、ストールなど、リュクスな風合いのアイテムが展開されている。また、なだらかに身体に添うジャケットやスカートには、廃棄された自転車のタイヤゴムが用いられている。

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