【まとめ】計画浮上から半年…使用済み核燃料中間貯蔵施設なぜ?なに?~市町議会への説明より~

【動画】核で揺れるまち 使用済み核燃料・中間貯蔵施設の建設計画

中国電力が山口県上関町で調査を進めている使用済み核燃料の【中間貯蔵施設】。去年8月に上関町が立地可能性調査を受け入れてから約半年。中国電力は、これまで上関町をはじめ周辺自治体や議会を訪れ、施設の概要や上関町が候補地となった経緯などを説明してきました。

市長・町長への説明は冒頭のみの撮影でしたが、各議会への説明会は、すべてマスコミに公開されました。上関担当記者が説明会の内容や質疑応答の内容をまとめます。

※回答内容は中国電力による説明・資料を要約したものです。

◆各議会への説明日

上関町:1月9日、柳井市:1月30日、田布施町:1月31日、平生町・周防大島町:2月5日

説明会では冒頭、中国電力が用意した中間貯蔵施設の概要や、その必要性を説明するビデオが流されました。中国電力は【核燃料サイクル】の中で、中間貯蔵施設は必要と強調しています。

■中間貯蔵施設とはそもそもどんなものなのか?

(中国電力の説明)

『原子力発電所の使用済み核燃料を再び燃料として利用する「核燃料サイクル」の中で、再処理を行うまでの間、一時的に使用済み核燃料を貯蔵・管理するための施設

使用済み核燃料は、【金属キャスク】と呼ばれる専用容器に入れて貯蔵・管理される。水や電気を使わず、外気による自然空冷で使用済み核燃料から発生する熱を除去する。』

■中間貯蔵施設はなぜ必要なのか?

(中国電力の説明)

『使用済み核燃料は発電所内の【使用済み燃料プール】で一定期間貯蔵された後、【再処理工場】に搬出されるが、燃料プールが満杯になってしまうと保管場所がなくなり、発電所の稼働を続けられなくなるため、使用済み核燃料の搬出先である中間貯蔵施設が必要となる。』

どの会場でも、議員からは【安全性】についての質問が相次ぎました。

(中国電力の回答)

『あらゆることに関して100%安全とは言えない。少なくとも原子力発電所よりは静的な安全な設備との認識。』

再処理工場が動かず、核燃料サイクルが機能しない中、上関の中間貯蔵施設に使用済み核燃料が置かれ続けるのではとの懸念に対しては…

(中国電力の回答)

『2024年のできるだけ早期に再処理工場を稼働させると日本原燃が青森県知事に約束をしている。再処理工場では、廃棄物を作る部分のガラスを溶かす部分に技術的な課題のある時期があった。これは既に解決している。3.11の【福島第一原発事故】を踏まえて非常に厳しい規制基準に対して、時間を掛けて審査をしていて、ようやく通ったため、工事の最終段階にあると思っている。これから稼働まで長期間かかるという認識はもっていない。』

とはいえ上関が「事実上の最終処分場」になるのではといった懸念の声はさまざまな場面で聞かれます。

今回、中国電力は【関西電力】と共同での開発を目指すとしています。議員からは「なぜ、関電と共同なのか?」「なぜ島根原発敷地内ではなく、上関になのか?」といった質問も相次ぎました。

■なぜ上関なのか?

(中国電力の回答)

『上関を選んだのには3つの理由があり、①地元への発注や従業員の居住や雇用、固定資産税など経済的なメリットからして、地元からの地域振興策の要請にこたえることができる点②設置に必要な強固な地盤を有する広い土地を保有しているため、島根原発構内よりもレイアウトや建設の自由度が高くより効率的な施設の検討が可能である③発電所建設のために取得した施設設計や安全審査等のための調査データが活用できる』

■関西電力との共同開発について

(中国電力の回答)

『島根原発からのみ排出された使用済み核燃料を貯蔵する施設では。小規模な施設になってしまい経済的に成立しないと考えた。中間貯蔵施設の建設に当たっては、規模にかかわらず一定のコストがかかるため、中国電力だけでは成立することができないと考え、関西電力に共同の開発を提案した』

~今後の動きは?~

上関町長島の候補地では現在、【ボーリング調査】を行うための準備段階として普通林の伐採が進められています。中国電力は準備が整い次第、ボーリング調査を行いたいとしています。

また上関町や周辺市町では中国電力に対し住民への説明を要請していて、今後、開催される見通しです。

いずれにせよ、まだ本格的な現地調査も始まっていない状況…ボーリング調査は約半年かけて行われる予定で、その後、分析が行われ、上関町に貯蔵施設の立地が可能かどうかの結果が伝えられます。

もし「可能」であると判断された場合、建設の是非について【上関町・西哲夫町長】は時間をかけて議論していきたいとしています。

担当記者が周辺議会への説明会で感じたのは、それぞれの議員が「自分ごと」としてとらえている一方で、中国電力の指す「地元」は上関…その温度感の違いでした。

立地の候補地点である上関はもちろん、これから交付金や風評など様々な形で影響を受けると考えられる周辺市町に対して、中国電力がどのように向き合っていくのか、重要なポイントの一つとなっています。

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