日本フィギュア初の世界ジュニア連覇も島田麻央は「五輪に出場できないトップスケーター」と五輪記者は嘆き! 浅田真央と同じ運命の“年齢制限”に物言い

フィギュア界に金字塔を刻んだ日本の超逸材が小さくない話題となっている。

現地3月1日、台湾で開催されたフィギュアスケート世界ジュニア選手権の女子フリーで、15歳の島田麻央が逆転優勝を果たし、日本勢では史上初めて大会2連覇を飾った。

シニア顔負けの演技は、この大舞台でも健在だった。中学3年生は大技の4回転トウループを見事に成功。鋭く回転し、高く舞い上がったジャンプは完璧な着氷で観衆を大いに沸かせた。

唯一、冒頭のトリプルアクセルはステップアウトとなりマイナス評価も、その他のジャンプはノーミス。スピンやステップなど、他の要素もジャッジを唸らせ、今季のフリー自己ベストを更新。200点超えを果たし2連覇が決まると、島田の目からは嬉し涙がこぼれ落ちた。
羽生結弦や宇野昌磨をはじめ、浅田真央、安藤美姫など将来のオリンピック日本代表の登竜門とも称される舞台でアレクサンドラ・トゥルソワ(ロシア)以来の2連覇を飾った島田。15歳の日本人が成し遂げた偉業は多くの喝采が上がったが、意外なところで異論が噴出している。

米紙『Chicago Tribune』で30年以上の記者歴を誇り、夏季と冬季を含めてオリンピックを20大会も取材した敏腕記者フィリップ・ハーシュ氏は、女子では史上3人目の世界ジュニア連覇を収めた島田の快挙を称えている。

だが一方で、「2026年のマオ・シマダは、2006年のマオ・アサダの後を継いで、年齢制限に数か月間に合わず、オリンピックに出場できないトップスケーターになってしまうのだろうか?」と自身のX(旧ツイッター)に綴る。

加えて、「15歳のシマダは、今シーズンのフリーで世界2位の成績を収めている」とも指摘。世界女王である坂本花織の今シーズンのフリー得点(151.00点)に次ぐ高得点を挙げていることを記し、ジュニア・カテゴリーにもかかわらず実力はすでに世界トップレベルだと強調。2年後のミラノ・コルティナダンペッツォ五輪に彼女が”年齢制限”のため出場できないことを嘆いている。

国際スケート連盟(ISU)は低年齢スケーターへの心身の負担、健康への懸念、選手寿命への影響を考慮し、2024-25年シーズンからシニア大会の最低参加年齢を現行の15歳から17歳以上に変更することを決定している。

ゆえに、26年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪の出場資格は五輪前年の7月1日までに17歳に達している必要があり、島田はその時点では16歳(10月30日が誕生日)のため出場できない。ちなみに彼女が「憧れの存在」と尊敬する浅田真央も年齢制限の基準より誕生日が87日遅く、2006年2月に開催されたトリノ五輪の出場は認められなかった。

ハーシュ氏は島田のポテンシャルなら、オリンピックでシニアと戦っても互角以上の実力を発揮できると太鼓判を押しているが、「年齢制限」というハードルがそれを阻止しているため、日本の逸材が最高の舞台に出場できない実状が不憫でならないと感じているようだ。

『麻央』という名前の由来になっている浅田と、奇しくも同じ運命を辿り、最短で30年の冬季五輪出場を見据えている島田。次期オリンピックのメダリストへ、周囲の期待は異様に高まっている。

構成●THE DIGEST編集部

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