「コンパクト」「淡い色合い」変わるひな飾り、年中飾る人も それでも変わらぬ願いは・・・

収納に特化した木目調の飾り台と淡い色合いの人形が特徴的なひな飾り=松江市上乃木3丁目、人形のはなふさ松江店

 3日のひな祭りに飾られる「ひな飾り」が多様化している。収納が限られるマンション住まいが増え、かつて主流だった7段飾りから3段飾りへとニーズが移り、島根県内の売り場はコンパクトな飾りが増える。インテリアとして飾る需要もあり、家の色調に合わせやすい淡い色合いも人気を集めている。

 人形のはなふさ松江店(松江市上乃木3丁目)は、以前は店内の壁際に並んでいた5段、7段飾りのスペースが、ここ30年で次第に縮小。1、3段飾りが目立つ。節句人形アドバイザーの赤名弘康店長は「以前は2割程度だった3段のひな飾りの購入が7、8割になってきた」と話す。

 ひな人形は婚礼をイメージし、1.3・5.7段などの種類があり、男雛(おびな)、女雛(めびな)2人の「親王飾り」や「三人官女」、「五人囃子」など段数によって飾る人形の数が変わる。

 高度経済成長期は国民所得増加や華やかさから7段飾りが多かったが、現在は核家族化でマンションが増え、スペースを取らないコンパクトな飾りに注目が集まる。飾り台が収納になるタイプもある。

 イオン松江ショッピングセンター(松江市東朝日町)は高さ30センチほどのケース飾りで、白枠のガラスケースを20種類以上展示した。小倉通彰店長は「年中インテリアとして飾る人もいる」と飾り方の多様化を感じる。杉原人形店(出雲市平田町)は、従来は赤色やオレンジといった濃い色合いの十二単(じゅうにひとえ)が多かったがピンクや紫、白色など洋間の雰囲気に合う淡い色の商品が増えたという。販売する杉原貴子さんは「祖父母が購入しプレゼントすることが多かったが、20~30代の親世代とビデオ通話したり、来店して一緒に選ぶことが増えた」と親の意向が反映されているという。

 需要は変わるが、子どもの健康を願う家族の思いは変わらない。人形のはなふさ松江店の赤名店長は「悩んで買う方ばかり。それぞれのスタイルでひな祭りのお祝いをしてほしい」と話した。

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