大量廃棄の出る食材を生かして“新たな食品”へ 「かあちゃんず」がチャレンジする取り組みとは?

大量に棄てられるモノから作り出された食品とは?

兵庫県相生市に、約15年前にわたり、地域に密着した農産物直売所の運営や加工品の製造を行っているグループがあります。農村の女性で構成される相生市農村女性連絡協議会、通称「食と農を守るかあちゃんず」です。「食と農を守るかあちゃんず」(以下、かあちゃんず)が製造したゆずみそは、2014年の「西播磨フードセレクション」で銀賞を、2016年の「モンドセレクション」で銀賞を受賞しました。

【写真】かんぴょうの原料・ユウガオから生まれたゼリー

同グループの代表を務める勝谷公美子さんが、ゆずみその次に製造を始めたのは、かんぴょうでした。高齢化により生産農家がごくわずかに。そこで、かあちゃんずが種を引き継ぎ、“地域での生産”を復活させようと栽培を始めたのです。

勝谷さんは、その製造過程で“無駄”があることに気付きました。かんぴょうは、ユウガオの実をむいて乾燥させたもの。実際に使える部分は少しだけで、ほとんどが廃棄されています。地域によっては食べられていますが、あくと青臭さが強いため調理に手間がかかるのです。廃棄部分を何とか利用できないかと考えた勝谷さんは、「夕顔の実ゼリー」を商品化しました。

商品にすることで廃棄量は減りましたが、それでもまだ解消には至りません。そんな時、勝谷さんが出会ったのが、兵庫県立相生産業高等学校の広報部「ティピアス」でした。

ティピアス顧問の柏原のぞみさんと部員の皆さんは、“地元を元気にしよう! 盛り上げよう!”という信念のもと活動。イベントの開催や地域の食材を生かした料理の開発など、色々な取り組みを精力的に行っています。同クラブが開発した「ゆずみそポン!」は、2020年に西播磨フードセレクションで金賞を受賞。翌2021年には「牡蠣のチャウダー」が同金賞を受賞。実力を備えるクラブです。

そんなティピアスのメンバーも、ユウガオの実の廃棄問題を重く受け止め、アクションを起こしました。なぜ、食べられている地域もあるのにあまりメジャーではないのか。実際に食べてみてどうか……。色々と試行錯誤を繰り返し、相生の地鶏とトマトを一緒に煮込んだ末に開発したのが、「夕顔の実と夢前夢美人鶏のトマト煮」です。トマトと煮込むことでユウガオ独特の青臭さを消し、併せてあく抜きを行います。これにより、ユウガオの実の芯はとても柔らかくなり、おいしい食材へと変わりました。勝谷さんやティピアスは、この「夕顔の実と夢前夢美人鶏のトマト煮」の商品化に向けて活動を続けています。

地元の食材を大切にする思いや廃棄食材を無くそうとする取り組みは、地域活性化につながると言えそうです。

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