「女性管理職0%」改善の余地…埼玉県立男子校、23年度は女性の事務部長1人 「共学化」議論

県立男子校の女性管理職0% 教育長「改善の余地」

 埼玉県立男女別学高校の「共学化」議論に伴い、男子校の女性管理職の割合が0%と指摘されたことについて、日吉亨教育長は1日の県議会一般質問で「改善の余地がある」と答弁した。松坂喜浩県議(県民)の質問に答えた。

 男女別学高校は県立高校137校中、12校。県男女共同参画苦情処理委員は昨年8月に出した勧告で、2022年の女子校の女性管理職割合が32%に対し、男子校では0%と指摘。女性教職員数の割合は女子校で49.1%に対し、男子校では21.4%だった。

 日吉教育長は23年度は男子校で女性の事務部長1人を配置しているとしつつ、「教職員人事は異動方針に基づき、校長の経営方針や教職員の希望も配慮しており、男女の割合は均衡を図る必要がある。女性管理職の登用は積極的に推進する必要がある」と説明。一方で、男女の役割についての定型化された概念の撤廃と共学化の関連については「女子差別撤廃条約は『共学化しなければ概念が撤廃されない』とまで言っているものではない」との考え方を示した。

 県教育局は「共学化を進める立場」を示し、在校生ら別学校関係者から意見を聴取しているが、別学を望んで進学した当事者だけに共学化反対の意見が多数を占めている。また、別学校に進学予定の中学3年生も埼玉新聞の取材に「男女共同参画というのは分かるが、わざわざ別学を選んでいる人がいるので共学化するのはどうなのか」と控えめに反対を示した。別の中学3年生も「別学は(同性が集まり)怖いところかと思っていたが、実際は楽しそうな雰囲気だった。なくなってほしくない」と存続を希望した。

 共学化議論を巡っては、20年以上共学化を求めて活動する市民団体や、別学維持を求める浦和高校の同窓会がそれぞれの立場から意見書を提出し、議論が活発化。県教育局は県民全体の意識調査などの取り組みが必要との勧告の指摘を踏まえ、さまざまな意見の聴取が必要との考えを示した。

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