できない理由ではなく、できる方法を…大宮駅西口バスロータリー、10代の声で混雑緩和へ すでに“改革”も

バス待ちの高校生などで長蛇の列ができていた大宮駅西口のバスロータリー=2月22日午前7時40分ごろ、埼玉県さいたま市大宮区

 埼玉県さいたま市立大宮国際中等教育学校の生徒が、大宮駅西口バスロータリーの混雑緩和に取り組んでいる。生徒が主体となり学校や市、バス会社に訴えかけたことで、バス停の並び方や学校の開門時間が変わり、地面に色分けで案内表示をするロードペイントを2024年内に実施する計画が進行している。

 大宮駅西口のバスロータリーでは朝の時間帯に、同校と県立大宮光陵高校、県立大宮南高校が利用する。同校は西武バスの2番乗り場を利用し、大宮光陵生は隣り合う1番乗り場を使用するすみ分けがされていた。朝の通学時間帯になると一般の利用客も含んだ列が複数方向に延びてしまい、降車客の妨げになっていた。

 この問題を目の当たりにした大宮国際中等教育学校5年で生徒会長の神龍之介さん(17)が21年から混雑解消に取り組んでいる。まずは同校に近いバス停で認知度が低かった「三橋四丁目」を全校に周知。生徒指導部長には開門時間を早めるように説得し、開門時間が午前7時45分から午前7時半に変更された。

 駅での待ち時間やバスの混雑を調査し、問題の可視化にも取り組んだ。平日の午前7時半ごろが最も混雑し、雨天時には200人以上の列ができていた。この結果を西武バスの大宮営業所に持っていったところ、22年2月に2番乗り場の並び列が変更になった。

 その後も西武バスや市交通政策課とも協議を重ね、バス停に6色のロードペイントを施す方針が立った。系統ごとに色分けし、並ぶ列を整理する。費用は西武バスが負担する予定。西武バスが市に計画書を提出しており、24年の完成を目指す。

 この活動は同校が行う、行動としての奉仕=SA(Service as Action)の一環でもあり、神さんを中心に10人で活動している。同校で2月17日に行われた市議会文教委員会のオープン委員会で、神さんと2年倉田理央さん(14)が活動を報告した。

 神さんは「課題に直面した時にできない理由を探すのではなく、できる方法を探していきたい」、倉田さんは「しょうがないと思わずに問題視することが重要。神先輩が卒業しても引き続き取り組みたい」と語った。

さいたま市議会文教委員会のオープン委員会で活動報告をした神龍之介さん(中央)と倉田理央さん(左)=2月17日、さいたま市大宮区の大宮国際中等教育学校

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