1歳半で小児がん判明し余命宣告…心支えたこどもホスピスは「第2のおうち」 施設開設へ遺族母親の思い

講演会で「こどもホスピスの支援者の輪が広がってほしい」と語る石田千尋さん=3月2日、福井県福井市のザ・グランユアーズフクイ

 重い病気と闘う子どもが家族と過ごす「こどもホスピス」をテーマにした講演会が3月2日、福井県福井市のザ・グランユアーズフクイであった。福井県内で施設開設を目指している団体「ふくいこどもホスピス」代表の石田千尋さん(41)=福井県鯖江市=が「こどもホスピスが当たり前に存在する地域をつくるために、支援者の輪が広がってほしい」と訴えた。

 2018年、当時1歳半だった石田さんの長男は、夫の赴任先のドイツで小児がんと判明。医師から余命宣告を受け、現地の「こどもホスピス」を紹介された。石田さんは息子を亡くしても心の支えとなったホスピスを“第2のおうち”と表現し、「看取(みと)りのためだけの場所ではなく、生きる喜びに焦点を当てる場所だった」と振り返った。

 21年3月に団体を立ち上げ、闘病中の子どもや家族を支える活動を続ける傍らNPO法人化を申請中。「家族が、治療中や一時退院中、治療を終えた子どもといつでも利用できる施設を開設したい。地域に開かれた場にしていくには、多くの人に関心を持ってもらうことが大切」と語った。

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 講演会はふくいピュアライオンズクラブ(LC)が結成25周年記念式典に合わせて開き、約100人が聴講した。同LCは、ふくいこどもホスピスにプロジェクターとスクリーンを寄贈、福井市立図書館には車いすやブックカートなどを贈った。

連載・第2のおうち~ふくいホスピスへの思い

【第1回】息子「おうちに帰ろ」

【第2回】母に抱かれ“旅立ち”

【第3回】最期まで家族らしく

【第4回】「前向き闘病」知って

【第5回】親たちが戻れる所に

【第6回】生きる力、地域と支え

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