馬肉、ラムは犬に与えてもいいの?犬に与えてもOK、NGな肉

「犬に与えてもいい人の食べ物、NGな食べ物」や注意点を知っておくことは大切です。
今回は「肉類・肉加工品編」について獣医師の林美彩先生に教えていただきました。

撮影/尾﨑たまき

肉類を与えるときの共通ルール

・必ず火を通す。生肉は与えない。
・人用の食肉を加熱して与える。
・脂や消化しにくい部位は避ける。
・味つけはしない。
生肉は表面に細菌などがついている可能性があり、与えると嘔吐や下痢を起こすかも。生食用の肉でも加熱を。

【牛】体づくりに欠かせない必須アミノ酸をバランスよく含む

〇 与えてもOK(少量なら与えて大丈夫)
たんぱく質の構成成分であるアミノ酸をバランスよく含んでいます。また、血をつくるのに欠かせない鉄分や、免疫力維持に必要な亜鉛といったミネラルも豊富。脳の活性に役立つアラキドン酸も含まれています。与えるなら赤身がおすすめ。
ただし、脂身、骨、ホルモン(胃や腸)、脂の多いひき肉は与えないで。

【鶏】豚肉や牛肉よりヘルシーで、犬にも好まれやすい

牛や豚よりヘルシー

〇 与えてもOK(少量程度なら与えて大丈夫)
鶏肉は豚肉や牛肉よりも比較的カロリーが低く、とくにささ身やむね肉はおすそわけ向き。鶏肉の風味を好む犬も多いです。また鉄分のとりすぎは肝臓に負担となりますが、ほかの食肉に比べて鶏肉は鉄分が少なめで、その点でも与えやすい食材です。
ただし、皮・脂身、筋、骨、脂の多いひき肉は与えないで。

【豚】ビタミンB群やたんぱく質が多く、体づくりに役立つ

〇 与えてもOK(少量程度なら与えで大丈夫)
ビタミンB群、とくに糖質をエネルギーに変える働きがあるビタミンB1が豊富なお肉です。皮膚や粘膜の健康に役立つビタミンB3や、体づくりに欠かせないたんぱく質、亜鉛も豊富。
ただし、脂身、骨、ホルモン(胃や腸)、脂の多いひき肉は与えないで。

【鹿・猪】同じジビエでも猪は高カロリーなので少量に

鹿肉

〇 与えてもOK(少量程度なら与えて大丈夫)
話題のジビエも食肉用をしっかり加熱したものであれば、よいたんぱく源となるので与えてOK。ただし猪肉はほかの肉よりもカロリーが高めなので少量にとどめて。

【馬】運動好きな犬におすすめ。ただし生食は避けて!

馬肉

〇 与えてもOK(少量程度なら与えて大丈夫)
脂質が少なく、鉄分が多いので貧血予防に。筋肉を動かすエネルギー源となるグリコーゲンが豊富なので、運動好きな犬にも◎。生食用もありますが、必ず加熱を!

【羊】意外と高カロリー。脂はしっかり取って

羊肉

〇 与えてもOK(少量程度なら与えてもOK)
ビタミン、ミネラルが豊富な羊肉。脂肪の燃焼に必要なL-カルニチンも多く含みます。意外とカロリーがあるので、与えるときは余分な脂身をしっかり取って。

【ハム・ベーコン・ソーセージ】塩分、調味料がふんだんに使われていて、脂質も多いので×

× 与えたらNG!(与えると中毒を起こしたり、健康を害する危険が)
いずれも犬にとって高塩分・高脂質・高カロリーな食べ物です。調味料や添加物も使われていて、食べさせると心臓や腎臓、膵臓などに悪影響。肥満の原因にもなってしまいます。

【サラダチキン】調味料がしみこんでいるので与えないで

× 与えたらNG!(与えると中毒を起こしたり、健康を害する危険が)
塩分が多く、調味料や添加物も使われているため、与えると腎臓や心臓などに負担がかかる可能性が。中毒を起こすにんにくや玉ねぎのエキスが含まれている危険も。
ただし、塩と鶏肉だけのシンプルな原材料のものなら、災害発生時の非常食として応急的に与えても。

【人用のビーフジャーキー】見た目は犬のおやつに似ているが、塩分が高くNG

犬のおやつに似ていますが、じつは人用のジャーキーには味がついています。食塩や添加物だけでなく、中毒の原因となる玉ねぎやにんにくが使われているものもあるので与えないで!

初めて与える食材は、ごく少量を与えて様子を見てください。迷ったら、与えない判断も必要です。

※当記事では、ドライフードを主食としている健康な成犬に人の食べ物を少量与えることを前提として、各判定を紹介しています。
※おすそわけしたら、そのぶんゴハンを減らすようにしてください。
※判定が「×」の食材でも、犬用おやつとして市販されているものもあります。
※どんな食べ物でもアレルギー症状を引き起こす可能性はあります。愛犬に与えて異変が出たら、ただちに与えるのをやめて獣医師に診てもらいましょう。
※問題のない食べ物でも、初めてだと下痢や発疹を起こしたりすることがあります。様子を見ながら少しずつ与えましょう。また、アレルギーや持病のある犬、子犬、シニア犬などに与えると、健康を害することがあります。このような犬に与えるときは必ず事前に獣医師に相談しましょう。
※食べ物を与えるときは、のどに詰まらせないよう細かく切るなどの下処理をしてから与えてください。
※判定や量の目安は最新の中毒報告等を加味して制作しているため、過去の記事の情報と異なる場合があります。
※掲載している情報は、2023年10月6日現在の情報です。

お話を伺った先生/往診・カウンセリング専門動物病院「chico どうぶつ診療所」院長。獣医師 林 美彩先生
参考/「いぬのきもち」2023年12月号『人の食べ物、犬が食べても大丈夫?』
写真/尾﨑たまき、殿村忠博、寺岡みゆき
文/いぬのきもち編集室
※掲載している情報は、2023年10月6日現在の情報です。

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