【ピエール瀧が行く ファンキー!公園】飛鳥山公園(北区)が“公園界の正解”なのか確かめるの巻

毎月ピエール瀧さんと一緒に公園の魅力を探求していく「ファンキー!公園」!
今回は東京都北区です。日本最初の公園の一つ、飛鳥山公園に来ました。

ピエール瀧

1967年、静岡県出身。1989年に、石野卓球らと電気グルーヴを結成。音楽活動の他、俳優、声優、タレント、ゲームプロデュース、映像制作などマルチに活動を行う。
近著は「ピエール瀧の23区23時 2020-2022」(産業編集センター)。

「北区PR大使の倍賞千恵子です」

遂に来ましたよ、“公園界の正解”こと飛鳥山公園に。

―― ここにはこの連載で絶対に来たかったんです。というのも、明治6年(1873)に指定された日本最初の公園の一つなんですよね。

そうなん⁉ そもそも「飛鳥山」って名前の由来はなんなの?

―― 飛鳥明神社のやしろが祭られていたことによるとHPには書いてますね。

ふーん。しかし、ここが素晴らしい公園なのは分かってるんだけどさ、実はたどり着くまでが大変なんだよね。近くのコインパーキングに車を停めてから歩いて来たんだけど、公園が見えてるのになかなかたどり着けなかった(笑)。歩道橋とか駆使してグルっとまわってきたよ。

―― 電車で来ると、JR王子駅中央口を出ればケーブルカーまですぐなんですけどね(笑)。確かに駅以外から来ようとすると、見えてるのにたどり着けない立地ですよね。

じゃあせっかくだから、ケーブルカーに乗って行こう。これは乗るの初めてだな。あすかパークレール「アスカルゴ」っていう名前なのか。結構最近設置されたんだな。ドラゴンドラ(フジロックフェスティバルの会場である苗場スキー場にあるゴンドラ)くらいの大きさだわ。お、動いた!

〈(車内放送)北区PR大使の倍賞千恵子です。今日は私のふるさと北区飛鳥山へようこそおいでくださいました〉

倍賞千恵子さんって北区出身なんだ(笑)。いやあ、これは楽チンでいいね。そしてもう着いた。『23区23時』で訪れて以来、久しぶりの飛鳥山公園だ。ケーブルカーを降りてすぐの花見エリアもいいけどさ、やっぱ向こうの遊具エリアがテンション上がるよね。標高25.4mだって。ここが飛鳥山の山頂になるのか。

久保(『散歩の達人』編集長):私、実家がこの辺で昔からよく来てたんですけど、昔はこの山頂に展望台があったんですよ。周りにマンションができて何も見えなくなったので撤去されちゃったんですけど。

あー、だから地面に札幌とかの都市の方向が書いてあるのか! なるほどね。遊具エリアの方も、ずっとあの感じですか?

久保:この間、茶屋がなくなった代わりにレストランができたんですけど、昔からあのまんまで基本的にはほとんど変わらずですね。

子供も大人もたまらないコンクリートゾーン

そうなんすね。いやー、やっぱいいわ、飛鳥山公園遊具エリア! ここは文字通りファンキー公園だよ。このコンクリート造形文化は懐かしさもあって楽しいよね。写真はどこで撮ろうかな? 撮りたいところがいっぱいあるんだよな(笑)。やっぱまずは目を引く象の滑り台かな。鼻に乗って撮らせてもらおう。

―― 瀧さんのご実家近くにもある同じ遊具って、あのオットセイのヤツでしたっけ?

そう、カバも同じ。こうやって口に砂食わすの俺も子供の頃やったわ。そして俺の娘もやった。でも、俺の地元にあるやつはこんなに綺麗じゃないけどね。ここの遊具はちゃんとペイントとコーティングをし直してるんだよね。

―― 真ん中のお城も綺麗ですもんね。

そうそう、やっぱ飛鳥山公園ですごいのはこのコンクリートゾーンでしょ。お城を中心にさ、この入ったら出られなくなりそうな昭和の遊具たちすごいよね。大人も子供も、何かしら解放されるものがある。お城の滑り台もやっとこうか。一番上から滑ってみるわ。おおおお! やっぱコーティングされてるから、滑りがいいわ(笑)。前来たときにも言ったけど、この公園のクラシカルな遊具で骨折した人たちって軽く1000人超えてると思うんだよ(笑)。もう世界に誇れると思うけどね、ここの遊具は。本当に最近だともう見られないでしょ、このデザインと規模感は。

―― でも、一個遊具なくなってますね。子供がままごとするようなコンクリートで出来た小さな家の形の遊具。

俺が、サラリーマンが雨宿りしそうって言ってたヤツ? ちっちゃいけど二人で向き合って座れるオブジェね。いくつかあった気がするけど、確かに全部なくなってる。前に話してた、公園内に安全領域を作らなければいけないっていう新ルールの兼ね合いで、撤去されちゃったのかなぁ。

久保:あ、そういえば確かに茶屋と一緒になくなっちゃってますね。

あれいい感じだったんだけどなぁ、残念。で、こっちは車両ゾーンか。都電と蒸気機関車。いやあ、これも保存状態がめっちゃいいよ。写真撮るなら、汽車より都電のほうがいい感じに撮れるかも。ちょっとジブリっぽい感じにしたりして。

―― 電車の向こうは海ゾーンですね。

人魚姫のオブジェあるもんね。砂場の上にも藤棚が設置してあって優しい。デザインした人はよくここまでやったなっていう気がする。もう最近ではあんまり見なくなった遊具もちゃんとあるしね。鉄棒とか、あの丸いグルグル回るやつとか。最近見なくなったよね。

―― 「グローブジャングル」ですね。確か手を怪我する子供が多発して、あんま置かれなくなったんですよね。

そうそう。だけどここには現役でちゃんとある。そんであの新しくできたっていうレストランの方にさ、芝生の広場があるじゃん。今回、昼間に改めて来て初めて気づいたけど、ああいう何もない空間もちゃんと確保されてるんだよね。ここは日本最初の公園の一つって言ってたけどさ。それだけじゃなくて、公園としての完成度が本当に高いと思うよ。ここを日本の公園の基本形にしてほしいな!

北区・飛鳥山公園 Data

公園完成度:★★★★★
昭和度:★★★★☆
アクセス度:★★☆☆☆

水飲み場:あり トイレ:あり
自販機:あり 灰皿:なし

飛鳥山公園(あすかやまこうえん) 住所:東京都北区王子1-1-3/営業時間:園内自由/アクセス:JR京浜東北線・地下鉄南北線王子駅からすぐ

構成=カルロス矢吹 撮影=横井明彦
『散歩の達人』2024年2月号より

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