【サッカー】セリエA名門対決、3人退場の大荒れ | ラツィオ、ACミランに0-1 | 鎌田出場せず

試合終了間際のアディショナルタイム6分、主審から一発レッドカードを出されて呆然とするラツィオのMFゲンドゥージ(右)写真:AP/アフロ

こんな試合にはめったにお目にかかれない。これもPen&Sports [ペンスポ] の引きの強さだと思っている。イタリア取材中のペンスポ編集部は2024年3月1日(日本時間2日)、サッカーのセリエAでも極めて珍しい「大荒れ」の名門対決を現地で目撃した。1960年ローマ五輪のメイン会場。7万人収容のスタディオ・オリンピコ・ディ・ローマで開かれたセリエA第27節、ラツィオーACミランだ。ラツィオ所属の日本代表MF鎌田大地は3試合連続で出場機会がなかったが、終盤はベンチの鎌田を気にしていられなくなるほど、試合は荒れに荒れた。

1チーム3枚のレッドは12年ぶり

ラツィオになんと計3枚のレッドカードが出て、試合終了時にはピッチに8人しか残らなかった。セリエAで1チームに3人の退場者が出たのは、2012年11月のパレルモ(対ボローニャ)以来12年ぶり。一方のACミランにも計6枚のイエローカードが出た。両チームの小競り合いで幾度も中断した試合はACミランが1-0で勝った。

ラツィオは3月5日の次戦、チャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント1回戦(ラウンド16)セカンドレグのバイエルン・ミュンヘン戦に弾みをつけたいところだったが、後味の悪さだけが残った。

後半12分、1人目の退場者で10人に

1人目の退場者はラツィオのDFペッレグリーニだった。0-0の後半12分、FWカステジャーノスが相手との接触でピッチに倒れ込んだ際、ペッレグリーニは主審にプレーの中断を要求。それでもボールをラインの外に蹴り出さなかったため、これをミランFWのプリシッチがプレスをかけて奪い取った。

ペッレグリーニは強引なファウルでプリシッチを止め、これに主審がイエローカード。すでに警告を1度受けていたため、累積でレッドカードとなり退場した。

ラツィオはそこから1人少ない数的不利の状況を強いられ、後半43分、ミランに先制を許した。試合終了間際、6分と表示されたアディショナルタイム、DFマルシッチが小競り合いのなかで審判に暴言を吐き、MFゲンドゥージとともに立て続けに退場となった。

取材申請通らず、チケット購入

ペンスポはもともと、鎌田に狙いを定めて、この試合の取材を計画していた。今季セリエAの27試合で先発出場は8回のみ。18試合出場1得点1アシストにとどまっている。この試合に鎌田が出ても出なくても、今季終了後の移籍が濃厚な彼の肉声を求めてラツィオに取材申請していた。ところが、試合前日にクラブから断りのメールが来た。

Buongiorno,
(おはよう)
Con la presente per comunicare che la richiesta di accredito è stata respinta.
(これによって取材認定要求が拒否されたことを通知します)
Cordiali saluti
(よろしくお願いします)

ラツィオから2月29日に届いたメール

サッカー取材に実績がさほどないだけに、予想はしていたが仕方ない。ただ創刊半年あまりの日本のウェブメディアに1900年設立のクラブが律儀に返事をくれたことだけでもありがたい。日本国内のスポーツ取材では申請しても「完全スルー」を経験することも少なくない。

45ユーロの当日券でスタジアムへ

話がずれたが、記者としての取材は今回、かなわなかったので、チケットを買ってスタジアムに入った。スタジアム近くに建てられた簡素なプレハブのチケットボックスでID(パスポートなど)を提示、45ユーロ(約7500円)の当日券を手に入れた。ただし、使えるのは現金のみだった。

ローマの地下鉄ではクレジットカードをそのままタッチすれば決済できるキャッシュレスが当たり前。なのに、セリエAの当日券は現金でしか購入できない点は意外だった。

また、一部の日本語の情報サイトにはラツィオの公式グッズショップ「Lazio Style」でもチケットが購入可能という情報があるが、実際に行ってみたところ、コロナ禍以降は販売していないことが判明した。情報が更新されていないこともあるので要注意だ。

熱すぎるサポーター、応援もACミランに軍配

チケット(と言ってもQRコードやパスポートの個人情報などが印刷されたA4モノクロの紙)を購入後、ゲートで手荷物チェックがあり、ペットボトル入りのミネラルウォーターを係員に没収された。スタジアムには液体を持ち込めない規則がある。

その後、ラツィオかミラン、どちらを応援するかを尋ねられる。両者のサポーターは安全面から同じブロックで応援することは許されない。緩衝地帯をはさんでお互いが隔離される。ホームの「ラツィオ」と告げてスタジアムに入った。

ラツィオのチームカラー、Biancocelesti (ビアンコチェレスティ=白と水色)のフラッグやレプリカユニフォームを着こんだサポーターたちがピッチ近くに陣取るが、スタンド上部には小さな子どもを連れた家族連れや普段着のカップルもいる。応援はアウェーにも関わらずACミランサポーターの方が、数段統制が取れていて迫力があった。座席は紙たばこ吸い放題。気温は10度を切って肌寒かったが、荒れに荒れた試合にラツィオサポーターのやり場のない苛立ちがスタジアムに立ち込める。ビールが飛ぶように売れていた。

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