福島・楢葉町の移住促進はAIモデルが担当 最新技術PRで低い認知度をカバー

東日本大震災からの復興が進む福島県楢葉町では、移住促進にAIモデルが一役買うことになりそうだ。町の復興と発展を目指して移住促進や地域活性化など様々な事業を展開している一般社団法人「ならはみらい」は、AIモデル・藤原れいに移住促進PR大使(非公式)を委任した。

AIを「主」、楢葉町を「従」になるように設計

藤原れいは、サイバーエージェント出身の2人が立ち上げた「Les株式会社」が開発したAIモデルで、2023年5月にインスタグラムを開設し、AIであることを明かさずに1か月半で約1万フォロワーを獲得した。24年2月には、楢葉町の松本幸英町長から移住促進PR大使の委任状も交付され、その写真も公表された。今後、インスタグラムやオフィシャルサイトを通じて町の魅力を国内外に発信していくという。

「ならはみらい」職員は、2月29日、J-CASTニュースの取材に対して、起用理由を次のように説明した。

「現在2拠点居住など多様なライフスタイルを楢葉町では応援しており、AIタレントという先進的な技術をプロモーションで使うことで遠回り的に伝わればと考えております。 また、福島県楢葉町という注目されにくい地域、全国区の観光名所があるわけではない地域ということもあり、当然認知度が低い地域といえます。そのため、プロモーションの方向性として、主従を逆転させ、良い悪いの議論が出てくるAIを『主』、福島県楢葉町を『従』になるように設計し、主の話題に注目してもらいつつ、楢葉町も頭に入れてもらおうと考えて企画しています」

「非公式」なのは議会のハードルが高いので「ライトに認める形として」

また、移住促進PR大使に「非公式」の但し書きがついていることについては、「楢葉町ではNARAHAアンバサダーという役職や、移住促進PR大使を公式に認めるという方法があるのですが、いずれも議会の中で承認プロセスを進めるのがハードルが高いため、ライトに認める形として移住促進PR大使(非公式)を使わせていただいています」と説明した。

一方、Les株式会社は、就任について次のコメントを出している。

「近年の生成AIブームは社会で未だ賛否両論のある分野ではありますが、AIと共存することが当たり前になる未来に向けて、このような社会貢献性が高い活動を「藤原れい」によって広め、日本国内の新たな文化形成や、新たな価値の創出に繋がる"きっかけ"となっていきたいと思います。 『藤原れい』は、楢葉町のアンバサダーとして活動するだけでなく、 今後も様々な社会課題の解決に貢献していく予定です。AI技術の可能性を最大限に活かし、より良い社会の実現を目指します」

3月1日から広告展開も行い、東京メトロ明治神宮前駅 、上野駅の駅デジタルサイネージに登場し、3月4日からはJR常磐線トレインチャンネルにも登場する。

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