桃の節句『春桃会』池坊専好・次期家元が献華 「季節感重んじる、日本の文化を」京都・三十三間堂

三十三間堂「春桃会」池坊専好・次期家元の献華は5年ごとに行われる<2024年3月3日 10時21分 京都市東山区>

国宝・三十三間堂(京都市東山区)で3日、恒例の「春桃会(しゅんとうえ)」が開かれた。

【画像】三十三間堂「春桃会」

“桃の節句” としての春桃会は、三十三間堂の名にちなみ、三の重なる三月三日に行われる法会。今年で20回目を迎えた。
この日は無料開放され、華道家元池坊 池坊専好・次期家元による桃の花の献華や、いけばな展が催された。

(※記事中の写真は、特別に許可を得て撮影しています)

三十三間堂とは通称で、正式には蓮華王院(れんげおういん)という。平安時代末期の1164(長寛2)年、後白河上皇が自身の住まいとした「法住寺殿」に、平清盛の寄進によって建てたお堂に始まるが、のちに火災により焼失。現在のお堂は鎌倉時代に再建され、国宝となった。

三十三間堂の名は、本堂内陣の柱間の数が33あることに由来する。
日本一長い木造建築として知られる本堂をもつ寺院で、1001体もの千手観音像が安置されている。左右10列の各段に50体ずつ整然と並ぶのが千手観音“立像”。中心に祀られる像の高さ約3.3メートルの“坐像”と合わせて1001体。千体観音立像は2018年に国宝に指定されている。

1001体の千手観音像の中には、「会いたい人に似た顔の観音像が必ずある」と言われている。

参拝者は、1001体の千体観音像を特設の高壇「東風壇(こちだん)」から遥拝(ようはい・遠くから拝礼すること)した。また、この日限定で女性専用の「桃のお守り」も授与された。

埼玉県さいたま市と東京都武蔵野市の30代の女性は、京都にはたびたび訪れるが春桃会は初めてだったという。「2人とも華道を習っているので、献花が興味深かった。大きな雛飾りもあって、こうした豪華な桃の節句を過ごせるのが京都らしい。『ジェンダーレス』の波が押し寄せている時代だが、女性は“桃の節句”、男性は五月五日の“端午の節句”、そして七月七日は男女がめぐり合う“七夕”と、趣とロマン、季節感があり、日本の文化として守り伝えていきたい」と話した。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、毎年春桃会で恒例だった故・瀬戸内寂聴さんによる青空説法は開催されず、2020(令和2)年は法要と献華のみ行われていた。
ただ、三十三間堂では広々とした回遊式庭園から本堂の舞台を見ることができ、“密”になることがないため、2021(令和3)年からは狂言や筑前琵琶、落語が奉納された。
そして今年(2024年)は、ソプラノ歌手・雨谷麻世さんによる奉納コンサートが開かれ、澄んだ歌声は多くの参拝者を魅了した。

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