渋野のキャディが“緊急登板” 西村優菜「きょうの自分は褒められる」

米ツアー自己ベストに並ぶ3位フィニッシュ(撮影/村上航)

◇米国女子◇HSBC女子世界選手権 最終日(3日)◇セントーサGC タンジョンコース(シンガポール)◇6775yd(パー72)

夜明け前から西村優菜のチームは忙しかった。帯同キャディのデイビッド・テイラー氏が体調不良に陥り、代役を探すことに。幸いなことに、渋野日向子のエースキャディ、ジョン・ベネット氏が次週中国の試合を控えてシンガポール滞在中で今大会の待機キャディに入っていた。

ベテランのベネット氏も、このコースでキャディをするのは初めて。即席コンビでの戦いだったが、西村は雨で軟らかくなったグリーンを果敢に攻め、4番(パー3)から3連続バーディを先行させた。「この(追い上げていく)位置からだったからこそ、アグレッシブに行けたっていうのもあると思う。それにショットがついてきてくれた」

キャディのジョン・ベネット氏との即席コンビで「66」(撮影/村上航)

一時は首位と1打差まで迫る猛チャージ。リーダーボードのチェックは欠かさなかったが、上との差を気にするよりも、ひとつでも多くバーディを奪うことに集中して「66」で駆け抜けた。通算9アンダー3位タイに食い込み、昨年10月「アーカンソー選手権」と並ぶ米ツアーベストフィニッシュとなった。

アプローチとパターはオフの成果を感じる部分(撮影/村上航)

「最後に一番いいゴルフができた。きょうの自分は褒めれるんじゃないかな」と笑う。前日までの3日間も大いに成長を感じられる。ショットがままならない中でスコアメークできたのは、ショートゲームがさえていたから。耐えていれば、4日間で全てがかみ合うチャンスも巡ってくると改めて感じた。「きょう、今シーズンで初めて“つながった”感じがあった。こういうゴルフがベースでできるようになってくると、あとはちょっとアジャストするだけ。そういうところをしっかり極めていけたら」と言葉に力も入る。

ルーキーだった昨季は10月まで時間を要したトップ10をシーズン早々に達成。充実感とともに、周囲への感謝がにじむ。

苦しんできたショットも最後にかみ合った(撮影/村上航)

まずはサポートしてくれた2人のキャディ。「JB(ベネット氏の愛称)が待機キャディでいてくれたことが奇跡。ホントに感謝です。DT(テイラー氏の愛称)も、アンラッキーだったと思う。彼に担いでもらって、この3日目まで来た。自分の中でいい報告をしたかった」。回復してホールアウトを迎えてくれた相棒を見つけて、うれしそうに笑った。

シンガポールでは連日契約スポンサーの関連企業が応援団として後押しもしてくれた。「たくさんの応援がうれしかったし、そのおかげで頑張れた。自分の記憶に残る1試合になりました」。胸いっぱいの様子で、次週4連戦目となる中国での「ブルーベイLPGA」に向かう。(シンガポール・セントーサ島/亀山泰宏)

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