線審への暴言で失格のルブレフを擁護する声!「ビデオによるリプレーを確認することもせずに処分できるのか?」<SMASH>

男子テニスツアー「ドバイ・デューティフリー選手権」(UAE・ドバイ/ATP500)で、線審に暴言を吐いたことを理由にアンドレイ・ルブレフ(ロシア/世界ランキング5位)が失格となった一件で、一部の選手から大会側の決定を疑問視する声が出ている。

事件は3月1日に実施されたアレクサンダー・バブリク(カザフスタン/同23位)との準決勝で起きた。お互いが1セットずつ奪う白熱の展開で迎えたファイナルセット、5-5の場面でバブリクの深いボールがイン判定となりラリーが続くと、そのままポイントを獲得した相手がサービスゲームをキープした。だがルブレフはボールがアウトだったと主張して線審に詰め寄り、怒りのあまりロシア語で「お前はバカだ!」と言ったというもの。

この暴言をロシア語の理解できる別の線審がスーパーバイザーに報告。ルブレフには「スポーツマンシップに反する行為」を理由に失格処分が言い渡された。判定を巡ってルブレフは「そんなことは言っていない。ロシア語で話してもいない」と抗議するも受け入れられず。大会からの追放と同時に本大会で獲得したポイントと賞金を失ったのである。

ただ問題はこれで終わりではなかった。というのもルブレフが本当にロシア語で暴言を吐いたかをスーパーバイザーは映像等を使って検証せず、線審による報告だけを根拠に失格処分を下したと思われているからだ。

こうした状況を受けて一部の選手からはルブレフを擁護する声も出ている。
スペインのアレハンドロ・ダビドビッチフォキナ(同24位)はSNSを通じて「(ロシア語を聞いたという)線審の理解した内容が正しいか最初に確認せずにルブレフ選手を失格にするのは非常に不公平で恥ずべきことだ。テニス界にはVAR(ビデオアシスタントレフェリー=サッカーで取り入れられている映像によって主審をサポートするシステム)が必要だ」と訴える。

また女子のダリア・カサキナ(ロシア/同12位)もSNSで「ビデオによるリプレーを確認することもせずにプレーヤーを失格処分にして、ポイントと賞金を奪うことができるの?」と疑問を投げかけ、「なんて冗談なの。テニスにはVARが必要で全てのトーナメントには電子回戦による通話が必要だということが改めて確認された」としている。

テクノロジーの進化とともに様々な面で判定の自動化を進めてきたテニス界だが、ATP(男子プロテニス協会)は、全てのツアーに於いて2025年から「線審の完全自動化」を目指しているが、いずれVARも導入が検討されることになるかもしれない。

とはいえルブレフが試合で見せた判定を巡り線審に顔を近づけて食ってかかる行為自体は、たとえロシア語の暴言が吐かれていないとしても許されるものではないだろう。

構成●スマッシュ編集部

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