繁殖引退したチワワの咳が止まらない 僧帽弁閉鎖不全症という重い心臓病 難航する里親マッチングに保護主は決心「わたしをあなたの家族にさせて」

元繁殖犬で重篤な持病を抱えながら、PETSに保護されたチワワのもこ

数多くの行き場を失ったワンコ、ニャンコを救い、幸せへつないでいる保護犬猫カフェPETS(以下、PETS)。中には重篤な持病のワンコを受け入れてきた経験があり、2022年10月に保護することになったチワワの「もこ」もそうでした。

もこを引き取ることになったのは、PETSと懇意の犬猫愛護団体からの相談を受けてとのこと。もこはチワワのブリーダーのもとで繁殖犬として使われた経験がある、繁殖引退犬でした。産んだ子犬は人間に取り上げられるという生活を何年もおくってきました。

さらに、繁殖犬引退の理由なのかは不明ですが、常に咳をしていることが気がかりでした。

「もこの家族」を見つけてあげたい

PETS代表はすぐに動物病院へと連れていきました。診断の結果は、僧帽弁閉鎖不全症というチワワに多い心臓病でした。投薬で病気の進行を遅らせることしかできず、時間の経過とともに、薬の量が増えると言います。

これまで辛い生活を強いられてきたもこを思い、PETSに提携する預かりボランティアさんと一緒にもこの世話をすることにしました。

一時、もこはこの預かりボランティアさんの家で過ごしていましたが、預かり時が「この子の最期を看取ることはできません」という約束だったため、一定期間を過ぎた後、代表の元へ戻されました。

PETSには様々な月齢や犬種のワンコが過ごしています。そのワンコたちはバックボーンや性格も異なます。重篤な持病のもこにとって、ずっと過ごすに相応しいとは思えないこと、そして何より「もこの家族」を見つけてあげたいという思いから、代表は一筋の希望をかけて里親募集をかけることにしました。

一筋の希望をかけて、もこの里親募集をかけることにしました

咳をする様子を前に皆「無理です」と去っていった

募集をかけてから、何度か「もこを迎え入れたい」という里親希望者さんからのアポイントが入りました。しかし、実際に対面すると、コンコンコンと咳をする様子を見た人たちは「無理です」と皆去っていきました。

代表はそのたびに心を痛め、改めてもこを見つめました。PETSに来る前は辛い思いばかりをさせられ、一度も「家族」の愛情を受けてこなかったもこ。なかなか里親さんとのマッチングが決まらないなかで、代表は決心をしました。

一度も「家族」を知らないもこを前に代表はある決心をしました

「家族を見つけられなくてゴメンね」ではなく「最期くらい私が『家族』として看取ってあげたい」と。

重篤な病気のため、もこがいつまで生きられるのか分かりません。でも、こんなに小さな体で生き抜いてきたもこを不安な状態のままにしておくことは代表にはどうしてもできませんでした。里親の募集は取り下げることにし、もこを家に迎え入れることにしました。

もこの咳は今も続いています。でも代表の愛情が伝わったのでしょうか、その表情はずいぶん柔らかくなり以前よりも元気に過ごしているそうです。もこがやっとつかんだ「家族との生活」が1日も長く続きますように。

__保護犬猫カフェPETS
__[https://profile\.ameba\.jp/ameba/pets\-adachi203](https://profile.ameba.jp/ameba/pets-adachi203)

(まいどなニュース特約・松田 義人)

© まいどなニュース