「暖かさ」と「冷たさ」と「熱さ」が存在する日中関係、何が必要なのか―香港メディア

香港誌「亜洲週刊」はこのほど、「暖かさ」「冷え込み」「熱さ」が存在する日中関係の現状と関係改善を阻む要因を分析する、毛峰東京支局長の署名入り記事を発表した。

日中の両国間には、双方が心を通わせ交流する「暖かさ」と、経済面での「冷え込み」、政治面の考えの相違が下手をすればエスカレートしかねない「熱さ」が存在する。香港誌「亜洲週刊」はこのほど、日中関係の現状と関係改善を阻む要因を分析する、毛峰東京支局長の署名入り記事を発表した。以下は同記事の主要部分だ。

岸田文雄首相は春節(旧正月、2024年は2月10日)を前に、首相官邸のホームページを通じて中国人や中国系住民、その他の人々に向けて祝辞を発表した。また、中国政府文化観光部の推計によると、中国の春節連休8日間の中国人海外旅行者数は延べ360万人で、日本は中国人観光客の春節休暇の人気の海外旅行先の一つだった。かつて日本で騒がれた中国人訪日客の「爆買い」は目立たなくなったが、中国人客は有名観光地以外の地方にもより多く足を運び、さまざまな体験をするようになった。つまり中国人客は日本をより深く味わい、より深く楽しむようになった。

しかし、日中の経済関係を全面的に見れば冷え込みが目立つ。在中日系企業の団体である中国日本商会の1月15日付発表によると、23年に対中投資額を縮小した日系企業は48%で、拡大した日系企業は15%にとどまった。また中国の海関総署(中国税関)によれば、同年の両国間の貿易総額は前年比5.7%減の2002億1237万元(約44兆8000億円)で、うち中国からの対日輸出は3.5%減で、日本からの対中輸出は7.9%減だった。

具体的な動きを見ても、三菱自動車が中国での自動車生産を中止し、トヨタとホンダは中国合弁企業の事業規模を削減するなどがある。中国は今も日本企業にとって最大の投資先であり、重要な市場でもあるが、投資コストの増加、競争の激化、中国デカップリングなどの要因が重なって、日本企業や中国に進出している日系企業の対中投資は目に見えて減少している。

日中関係に強く影響する要因としては台湾問題もある。日本の対台湾政策を実質的に大きく変更したのは故安倍晋三首相だった。「台湾有事は日本有事」との言説も多くなされるようになった。日本の要人はさまざまな場面で「台湾は日本の重要な友人であり、特別なパートナーである」との発言を繰り返すようになった。

台湾総統選で民進党が勝利したことによっても、日本の「台湾有事」を念頭に置く軍事的対応などの準備はより具体化されるだろう。一方で、中国は台湾問題が国際化することの回避に全力を挙げている。これらにより、台湾問題は日中関係の改善と安定にとってより多くの不確実性と試練をもたらすことになる。

台湾問題に限らず、日中間には政治と安全保障分野の相互信頼の欠如という壁をどう乗り越えるかという試練がある。世界的に政治陣営の対立構図が激化する中にあって、日中両国は地政学と安全保障の衝突の最前線に位置する。安全保障分野で対話を強化し、理解を増進し、透明性を高めることが両国関係における最優先事項だ。両国が多面的な全方位的交流を促進し、不必要な対抗的措置を解消し、「大同を求めて小異を残す道」を切り開くことが、両国関係を安定させる鍵になる。(翻訳・編集/如月隼人)

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