Google×MISAMO、コカ・コーラ×NewJeans……相次ぐ世界的企業のCM起用 K-POPが映し出すトレンド

2023年末頃から、世界中で製品・サービスを提供する大手企業が日本で行う販促・PR活動において、K-POPアーティストを起用する事例が相次いでいる。

CMや広告のイメージモデル、ブランドアンバサダーへのK-POPアーティストの起用は、特にファッション業界や美容・化粧品業界において、以前から活発に行われてきた。例えば、ルイ・ヴィトンでBTSのJ-HOPE、ディオールでTOMORROW X TOGETHER、ジミーチュウで(G)I-DLEのMIYEON(ミヨン)がアンバサダーを務めているのがその一例だ。

しかし最近は、そうしたファッション・コスメブランドだけでなく、食品やIT機器などを提供する世界的な企業も、日本国内での販促・PR活動にK-POPアーティストのイメージや知名度を活用する事例がよく見られるようになった。

例えば、Googleは2023年11月13日より、TWICEの日本人メンバー MINA、SANA、MOMOからなるユニット MISAMOをGoogleが展開するサービス「Googleアプリ」のPR活動に起用。MISAMOが渋谷スクランブル交差点や雑誌、SNSなどに登場した際、彼女たちが持っているアイテムをユーザーや視聴者がGoogleレンズを使って画像検索するという内容でCMを制作した。MISAMOとしては初のテレビCM出演ということもあって、Googleの公式YouTubeに公開されたWeb動画を含めて、大きな話題を集めたことは記憶に新しい。

また、国内大手の時計メーカーCASIOも、G-SHOCKの広告やイメージビジュアルにITZYを起用している。2023年2月からG-SHOCKのサイト等でITZYの姿が見られるようになったが、2024年3月8日にはついにITZYとの初のコラボレーションモデルが発売に。同モデルの発売日を目前に控え、G-SHOCKのサイトでは現在、メインビジュアルが公開されているほか、公式YouTubeなどを通じてPR動画も配信されている。スポーティで洗練された時計を身につけるスタイリッシュな4人の姿が印象的なPR動画となっている。

ポカリスエット等、世界に医薬品・食料品を展開する大塚製薬は、12月22日より放送のスポーツドリンク・ボディメンテ・のCMにNCT 127を起用した。

CMはドラマのような構成で制作され、NCT 127のコンサートに向けて、俳優・小野花梨演じるNCT 127のファンが万全な体制を整えようと、ボディメンテを活用しながら体調管理やグッズづくりに勤しむ姿が描かれた。この中では、コンサートに向けて日々努力を重ねるファンの姿とリンクするように、NCT 127のメンバーも身体づくりやパフォーマンスの準備を行う姿が映し出され、“推し活”の描き方のリアリティさも相まって、大きな共感と話題を呼んだ。

そして、コカ・コーラでは、NewJeansが出演する「コカ・コーラ ゼロ」のCMを2月5日より放送を開始。

NewJeansは2023年3月より、コカ・コーラのグローバルアンバサダーとして活動中。今回のCMはその一環として制作されたものと見られ、“コカ・コーラマシッタ”と印象的なフレーズを口ずさみながらボトルを選ぶHYEIN(ヘイン)や、ボトルを持ちながら楽しそうにポーズをとるNewJeansの5人の姿が目を引く映像となっている。また、CMソングには、コカ・コーラとNewJeansがコラボレーションした楽曲「Zero」が使用されており、サウンドの点でも非常にキャッチーで耳に残るCMだと言えよう。

このように、2023年末から現在にかけて、今をときめくK-POPアーティストが世界的な企業のCMや広告、販促サイトなどに起用される事例が相次いでいる。これまでファッションブランド等ではグループから一人のメンバーがアンバサダーに起用されたり、あるいは複数名でイメージモデルを務めることも多かったが、世界的なIT企業のCMでMISAMOのようなユニットが起用されているのはとても興味深い。

CMや広告は、企業や製品・サービスのイメージをつくる側面がある一方で、時代や社会のトレンドを敏感に取り入れてつくられるため、「時代を映す鏡」となる側面も持つ。この点も踏まえて昨今のCMを見てみると、K-POPアーティストが国内に浸透し、世界的企業からも一目置かれている状況が改めて浮かび上がってくる。

(文=市岡光子)

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