【クレヨンしんちゃん】野原家は爆発後、住宅ローンを「二重」に払ってる?「火災保険」でなんとかなるの? ローンが残っているのに自宅が「爆発」した場合について解説

野原家大爆発事件とは?

野原家大爆発事件とは、ガス漏れが起きていた室内で、しんのすけがうっかり多目的ライターで火をつけたため爆発を起こして自宅が全壊したものです。幸い火災保険に入っていたため、自宅は再建され、周囲にも被害はおよばなかったようです。

住宅ローンはどうなる?

地震や火災などで自宅が全壊した場合でも、住宅ローンが免除されることはありません。そのため、全壊後に自宅を再建する際は、残された住宅ローンに加えて再建する分の住宅ローンも支払う二重ローン状態になります。賃貸住宅に引っ越した場合でも、住宅ローンと家賃の二重払いに苦しむことになるでしょう。

しかし、十分な保険金額の火災保険に入っているのであれば、再建費用は保険金でまかなえるため、住宅ローンが増えることはありません。

火災保険の注意点

しかし、火災保険に入っていれば大丈夫かというと、気をつけなければならない点もあります。火災保険の注意点を解説します。

保険金額に注意

火災保険で、損害が発生した際に支払われる上限額(保険金額)は、「新価(再調達価額)」「時価」のいずれかで決められます。新価とは建物を再建築するのに必要な費用を基準として評価額を決めます。一方、時価は新価から経過年数により消耗した分を差し引く点が特徴です。

時価は、年数経過とともに保険料が下がる点がメリットですが、建物を再建築しようとした際に費用が足りなくなるおそれがあります。不足分は新たなローンなどで補わなくてはならないため、住宅ローンの返済が厳しくなるでしょう。

保険金が支払われないケースがある

火災保険に入っていても、保険金が支払われないケースがあります。例えば、地震や噴火、それにともなう津波により自宅が損害を受けた場合です。地震などに備えるためには、火災保険に加えて地震保険にも入っておく必要があります。

また、重大な過失(重過失)があるときも支払われません。重過失とは、少し注意すれば事故が起きなかったのに注意を怠った場合で、以下のような事例が挙げられます。

__●火のついたガスコンロに天ぷら油の入った鍋をかけていたのに、その場を離れて出火
●たばこの吸い殻が完全に消えたことを確認せずに、吸い殻を紙などが入ったゴミ袋に入れて外出したため出火__

野原家大爆発では、しんのすけがうっかりと火をつけているため重過失に当たるのではないかと思う人もいるかもしれません。しかし、子どもの火遊びで重過失が認められていない判例も複数あるなど、重過失が認められるハードルは高いため、野原家の事例も重過失とまではいえないのではないでしょうか。

その他の注意点

野原家大爆発では、周囲に被害がおよんでいると少し話が変わってきます。火事であれば、失火責任法により、重過失がない限りは損害賠償責任が生じません。
しかし、ガス爆発は失火責任法でいう失火の対象外のため、重過失がない場合でも損害賠償責任が生じます。このようなケースに備えるには、個人賠償責任保険で対応する必要があります。

まとめ

自宅がガス爆発などで全壊した場合でも住宅ローンの支払いは免除されません。火災保険に入っていなければ二重ローンなどで苦しむことになるため、火災保険で備えておく必要があります。

しかし、火災保険だけでは地震などの損害はカバーできないため、地震保険への加入も検討したほうが安心です。また、重大な過失があったときには保険金が支払われないため、そのような過失を犯さないように気をつけましょう。

執筆者:山根厚介
2級ファイナンシャルプランニング技能士

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