元ミス日本 伊藤千桃さんの春を待つ葉山での暮らし「春の芽吹きにそなえた“庭仕事”に精を出しています」

自然に恵まれた神奈川県葉山町で暮らす、伊藤千桃さん。質素で豊か。ありのままの、飾らない自然な暮らしを楽しんでいらっしゃいます。千桃さんの春支度や季節の味について、お話を伺いました。球根、落ち葉、腐葉土や生ごみなどが、庭のなかで循環しています。

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profile
伊藤千桃さん
いとう・ちもも●1950年ジャカルタ生まれ、1972年度ミス日本、元女優。結婚後、子育てのために葉山に移り住む。離婚後は「桃花源」の屋号でレストランを営み、旬の地野菜を使った料理で人気に。現在はデリバリーや民泊、オリジナルの野草茶の販売(https://chimomo.official.ec/)や、『いとよし』とのコラボでワークショップ(https://ito-yoshi.com/)を行う。
著書に『千桃流・暮らしの知恵』※現在は電子書籍版のみの扱い(主婦の友社)。

春の芽吹きにそなえた“庭仕事”

伊藤千桃さんが暮らすのは、豊かな自然に恵まれた神奈川県葉山町。
山の麓のなだらかな傾斜を生かした庭には、四季折々の花が咲いています。

「11月頃からスイセンやチューリップ、ユリなどの球根を植え始めます。どの球根をどこに植えるか特に場所は決めてはいないのですが、スイセンは直射日光の当たりすぎない半日陰、チューリップは日当たりの良い場所、ユリは水はけと風通しのよい場所と、全体のバランスを見ながら庭のあちこちに、少しずつ、ぽちぽちと植えています」

球根は土の栄養を吸収してどんどん増えていくため、最初に購入したのはわずか数個だとか。

それを毎年大事に育てて増やし、今では庭じゅうで花が楽しめるまでに。
「翌年にまた開花してくれるよう、球根を太らせてから掘り上げ、保管しておくんです。親球についている子球を栽培すれば、どんどん増えていきますよ」

2~3月に咲く見事なスイセンは、 春の終わりに球根を掘り上げて

スイセンは花が咲ききって葉が枯れ始めた春の終わり頃が、掘り上げる目安。掘り上げた球根は、風通しのいい日陰で保存しておきます。

「球根をよく太らせるため、茂った葉が枯れた始めた頃、栄養を吸収し終わった後に掘り上げるのがポイントです。タイミングさえ間違えなければ、立派な球根に育ちます」

チューリップは花が終わると葉がなくなるため、どこにあるか分からなくなり、掘り起こすのを忘れて、ダメにすることもしばしば。

「ただ、掘り起こさなくても、翌年ちゃんと咲いてくれて、あら、ここに植えていたんだ!とウレシイ驚きです」

ユリは花が終わっても葉がしっかりと残るため掘り起こしを忘れることはありませんが、間違えてうっかり草刈り機や鎌で刈ってしまって球根の成長を止めてしまうことが多いとか。

よく太らせてから掘り上げた球根は、根を傷めないように土を落として風通しのいい日陰で保管。

「秋植えのスイセンやチューリップは11月頃に植えておくと、2~3月ごろには開花が楽しめます」

秋冬のうちに落ち葉を集めて腐葉土づくり

千桃さんは庭掃除で出た大量の枯葉を庭のあちこちに溜めて寝かし、腐葉土にしています。

「枯葉を腐葉土にするには、ちゃんと手入れして一年くらいは必要ですね。庭からは一年中、剪定した木やむしった草などが出るので庭のあちこちに溜めておき、気づいた時に掘り起こすようにしています。これを繰り返しているうちに土に戻っていくんです」

千桃さんの家の裏庭にはコンポストがありますが、腐葉土の出来をチェックしつつ、野菜くずやストーブの灰などを混ぜたりして、土に栄養を与える工夫もしています。

「うちは庭のごみが大量に出ますが、山を下りてごみ捨て場まで運ばなくてはならないんです。その手間を省くためにも、庭のなかでなんとか自然と循環させたいと考えています。だからこそ、良い土ができたときはうれしいですね。知らない人が見たら、庭に生ごみをまきちらすなんて何をやっているんだ?と不思議に思うでしょうね」

ふきのとうやタラの芽、うどなどの山菜が採れる季節はもうすぐ。
豊かな土に自然からのギフトが次々と芽吹いていきます。

春に向けた千桃さんの庭仕事、ますます忙しくなりそうです。

庭掃除で出た枯葉に生ごみを混ぜた腐葉土作り。

「最近は、生ごみだけでなく、玄米を精米する際に出る米ぬかを混ぜたりしています。夏場は虫がわくことがあり、日にあてたり、掘り起こしてよく混ぜたり、まめに手入れをするようにしています。手間をかけないと、なかなか良い土にならないですね」

撮影/砂原文


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