国交省/コンクリ構造物の工法選択、VFM評価を25年度導入/新規設計で試行検証

国土交通省は直轄土木工事のコンクリート構造物のプレキャスト(PCa)と現場打ちの工法選択に当たってコスト以外の要素を考慮するVFM(バリュー・フォー・マネー)の評価手法を2025年度にも本格的に取り入れる。省人化効果や働き方改革寄与度を考慮する観点で、総人工数や施工日数などの「定量的評価」と、工事書類削減や安全性向上などの「定性的評価」の両面で評価項目を整理。適切な工法選択に有効かどうか判断するため、過年度の設計業務をサンプルとした比較検証を継続するとともに、24年度には新規発注の設計業務でVFMの評価手法を試行する。
定量的、定性的の両評価項目を取り入れた試行要領案=表参照=を作成し、2月28日に開いた有識者会議「コンクリート生産性向上検討協議会」で報告した。当面は大型ボックスカルバートの工法選択に用いる。
現在までにPCa工法を採用した設計業務の比較検証で評価手法の妥当性を確認しているが、24年度は現場打ちを採用した設計業務も検証対象に加える。VFMの評価手法に照らせばPCaを採用した方が良いとの判断に切り替わる可能性があり、その妥当性を検証する狙いがある。
発注者や設計者だけでなく、実際に工事に携わった受注者も対象にフォローアップ調査を行い、工法選択の適切さなどについて聞き取りする。
新規発注の設計業務では、各整備局で1、2件程度を対象に試行要領案を適用した工法選択に当たる。評価項目は地域性や現場条件を考慮し複数設定しており、その中から抽出し運用することも可能。24年度の比較検証や試行を通じ、試行要領案の評価項目や数値化の方法、配点の重み付けに関する妥当性を確認する。
この結果を踏まえ必要があれば修正などを加え実施要領案を策定し、25年度に本格適用する段取りとなる。
同協議会であいさつした林正道官房技術審議官は、VFM導入を念頭に「コスト至上主義ではなく、優れた技術をしっかり評価していく。そして良い技術をきちんと使っていくことが大事ではないか」と呼び掛けた。

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