ヤクルト2軍移転 茨城・守谷の交通網 整備加速 ICや都市軸道路

つくばエクスプレス(TX)に沿って、埼玉県三郷市とつくば市を結ぶ計画の都市軸道路。右奥に守谷市内のマンションなどが見える=つくばみらい市内

茨城県守谷市でプロ野球ヤクルトの2軍施設の移転準備が進む中、常磐自動車道守谷サービスエリア(SA)スマートインターチェンジ(IC)や都市軸道路の整備が加速する。交流人口の増加が見込まれる半面、交通渋滞が懸念されており、市は県とともに、周辺整備に関する住民説明会を開くなど周知を強化している。

■関心高い説明会

「インターチェンジはいつごろできるのか。期待しているのだが」。市と県が昨年12月に開いた守谷SAスマートICと都市軸道路についての説明会で来場者が担当者に尋ねた。

事業の計画概要を示すパネルが並ぶ中、担当者は、スマートIC新設候補地として守谷SAが「準備段階調査箇所」に採択されたことなどを説明した。

都市軸道路については、市外からも期待の声が上がる。同県つくば市在住の会社役員の男性(31)は「よく利用する。利根川に橋ができれば千葉にも行きやすくなり、もっと便利になる」と期待する。

説明会は3日間開催。市によると、計70人以上が訪れた。市担当者は「ヤクルト移転で周辺整備への関心が高まっている」と話す。

■アクセス向上へ

ヤクルト2軍施設は守谷SAに近い守谷市野木崎地区に整備される。昨年11月、市と県、ヤクルト本社、球団の4者が基本協定を締結した。

新たに「市総合運動公園」を整備。そのうち約7.3ヘクタールにメイン球場のほか、サブグラウンド、室内練習場、選手寮、クラブハウスなどを建設し、2027年シーズンの開業を目指している。

移転に当たり、球団は土地の広さとともに、1軍本拠地の明治神宮野球場(東京都新宿区)へのアクセスも重要視した。

守谷SAスマートICが新設されれば、さらにアクセス向上が見込まれる。同スマートICは昨年9月、国土交通省が新設候補地として準備段階調査箇所に選定。現在は市や県などが準備会を立ち上げている。

■橋完成で利便性

2軍移転を巡り、守谷市内の交通渋滞が大きな課題となる。市内では、国道294号や市道「常総ふれあい道路」、新大利根橋など周辺の橋も日頃から渋滞が発生している。

そこで注目されるのが、つくばエクスプレス(TX)に沿って計画されている都市軸道路の整備だ。都市軸道路は、埼玉県三郷市の東京外かく環状道路(外環)とつくば市の国道354を結ぶ計画の全長約32キロの幹線道路。

県内区間は約15.6キロのうち約13キロが供用済みで、つくば市内の約1キロが事業中。昨年11月には、埼玉と千葉両県間の江戸川を渡る「三郷流山橋有料道路」が開通した。

利根川渡河部では全長3.1キロの橋梁(きょうりょう)整備が計画されている。完成して全線開通すれば、渋滞緩和だけでなく、物流や市民生活での利便性向上が期待される。

守谷市の松丸修久市長は「スマートICと都市軸道路の整備は守谷市だけでなく、周辺地域、県の発展にも大きく関わる。しっかりと取り組む」と話す。

守谷SAスマートICと都市軸道路の説明会=守谷市内

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