藤井八冠への挑戦権は誰に…決着はあす未明か A級順位戦7年連続会場になった静岡市・浮月楼とのゆかりは 

「将棋界の一番長い日」と言われる将棋のA級順位戦最終局が静岡市内で行われています。名人をかけて、藤井聡太八冠への挑戦権を獲得するのは誰なのか。結果は日付が変わって、3月1日未明に決まる見通しです。

静岡市の浮月楼で29日始まったのは、将棋の名人タイトルへの挑戦権をかけたA級順位戦 最終局。藤井聡太八冠の「名人タイトル」への挑戦権をかけて10人の棋士が争います。持ち時間は6時間。1日で勝敗を決めるため「将棋界の一番長い日」と言われているのです。

藤井八冠「大混戦。見てる方からすると面白い」

午後、藤井八冠が大盤解説を務める会場には多くの将棋ファンが集まりました。きのうの前夜祭でも…。

小林健二九段:「空いているけど誰か来るの?」
司会者:「それではここでスペシャルゲストに登場していただきましょう。藤井聡太竜王・名人です」

登場したのは藤井八冠。黄色い歓声が飛び、参加者が一斉にスマートフォンで写真を撮ります。

司会者:「ようこそ静岡市にお越しいただきました。ありがとうございます、今一度盛大な拍手をおおくりください」

小林健二九段:「名人、じいさん2人に囲まれた感想はいかがですか?」

藤井聡太八冠:「立会人の青野九段と小林九段と一緒にあすの対局の見どころを語っていければと思います。どうぞよろしくお願い致します」

小林健二九段:「藤井名人、こちら(浮月楼)は何度目ですか?」
藤井聡太八冠:「おそらく去年のA級の最終局と名人戦の第2局で呼んでいただいたので、今回3回目になるかなと思います」

小林健二九段:「おそらくあと20年ぐらい、ずっとこの席に座っているんですね」

ステージ上でも会場を沸かせる藤井八冠。さらにこんな「プライベート」な質問も。

小林健二九段:「(師匠から)お年玉を今年もらえなかったと聞いたんだけど本当ですか?」
藤井聡太八冠:「別にもらわなかっただけで、さすがにそろそろ貰うのも申し訳ないので」

青野照市九段:「師匠にあげたことはないですか?」
藤井聡太八冠:「さすがに、弟子から師匠にお年玉あげるのは聞いたことがないので、やりづらいです」

そして、藤井八冠は静岡市内で行われる対局の見どころを語りました。

藤井聡太八冠:「今期のA級は本当に大混戦で、対局される方は大変だと思うが、見ている方からするとこれほど面白いことはない。皆様と一緒に対局を楽しみたいと思っております」

県外からも多くの将棋ファンが

前夜祭に参加したファンも興奮冷めやらぬ様子でした。

東京都民 ファン歴2年
Q.どなたのファンですか?
A.「藤井聡太先生のファンです。近くで見られて本当素敵でした」

Q.どのあたりが素敵でした?
A.「笑顔とかですかね」

愛知県民 ファン歴8年
Q.どなたのファンですか?
A.「藤井聡太先生です。4段に昇段してからずっと応援しています」

Q.藤井八冠はしばらくタイトル独占できそうですか?
A.「あと20年ぐらい独占するんじゃないですか。(前夜祭は)いつもと同じで自然体で、対局がないから余計自然体だったと思いますよ」

名人戦と静岡のゆかりは

A級順位戦が静岡市の浮月楼で行われるのは7年連続。将棋の「名人戦」のルーツは晩年を静岡で過ごした徳川家康にあるといいます。家康は将棋・囲碁に深い関心を示し、時の実力者たちを駿府城に招き御前で対局を行わせたとされています。

その「名人戦」の挑戦者争いの舞台が、徳川最後の将軍、徳川慶喜が暮らした屋敷跡地にある浮月楼なのです。

去年は藤井八冠も、当時「五冠」として「名人」への挑戦権をかけて対局を行いました。

藤井聡太・当時五冠(去年3月):「A級戦最終局、浮月楼さんに伺うのは、自分は今期が初めてになる。前期までは中継を見て楽しんでいたが、今回こういった素晴らしい場所で対局させていただけるということ、とてもうれしく思っている。今までどおり集中して対局に臨めればと思っている。皆さんに最後まで楽しんでもらえる将棋ができればと思う」

当時、静岡で勝ったことで名人戦への挑戦権を得た藤井八冠。その後の名人戦七番勝負で渡辺明九段に勝利し、将棋のタイトルで最も歴史がある「名人」を史上最年少で獲得しました。つまり、藤井八冠にとって重要な一局が静岡で行われたということなんです。

2月、「王将」のタイトルを防衛し、タイトル戦20連勝、58年ぶりの連勝記録更新となった藤井八冠。このA級順位戦に勝利し、その藤井八冠に挑むのは、どの棋士になるのか。結果は日付が変わって、あす3月1日未明には判明する見込みです。

© 静岡朝日テレビ