村山富市元首相が100歳に「家族と過ごせ幸せ」 歴代経験者で3番目の長寿【大分県】

100歳を迎えた村山富市元首相=2月23日、大分市の自宅
村山富市元首相が大分合同新聞に寄せたメッセージ
100歳以上の歴代首相

 村山富市元首相は3日、100歳の誕生日を迎えた。歴代の首相経験者では3番目の長寿で、存命者では最高齢になる。村山氏は「100歳と言われても実感できない。今は一日一日を家族と過ごせることを幸せに思っている」と大分合同新聞にメッセージを寄せた。

 村山氏は大分市内の自宅で暮らしている。喉の衰えを防ぐため、毎日のように首相時代のあいさつ文を読み上げる。朝夕の散歩や、棒につかまってのスクワットも続けているという。体調が良いときは妻ヨシヱさん(100)が入所する福祉施設を訪問する。

 3日も普段通り自宅でゆっくりと過ごしたという。同居する次女の中原由利さん(67)は「多くの人に祝福されて、とても喜んでいる。100歳を迎えられたのは皆さんのおかげ」と話した。

 首相官邸によると、村山氏のほかに100歳を超えた首相経験者は、102歳の東久邇宮稔彦(ひがしくにのみや・なるひこ)氏と、101歳の中曽根康弘氏の2人(いずれも故人)。

 村山氏は1924(大正13)年、大分市浜町の漁師の家で生まれた。11人きょうだいの6男。市議、県議を経て72年に衆院議員となり、94年に第81代首相に就任した。

 村山政権当時、通商産業省(現経済産業省)の貿易局長だった広瀬勝貞前知事(81)は「大分県出身者が初めて首班(首相)指名を受けた日の感動は今も忘れられない。県民の大きな誇りだった。本当に立派な仕事をしてくれた」と語る。

 運輸相として閣内にいた亀井静香氏(87)は95年の阪神大震災の対応について「名宰相として感銘を受けた」と振り返る。「法律は後回しで『人命第一、復興最優先』を掲げ、全ての責任は自分が取るという覚悟だった。金に糸目を付けないから、あらゆることをやってください、と指示があった」という。

 「現在の混迷を見るにつけ、第二の村山首相がいたらもっと良い政治ができたと思わずにはいられない」と強調する。

 95年には日本の過去の植民地支配と侵略を認めた「村山談話」も発表した。当時の自民党総裁で、外相を務めた河野洋平氏(87)は「偶然にも戦後50年の節目で首相になり、談話を発表したことは良かったと思っている」とコメントした。

 「村山さんは(裏金問題など)今の政治状況をとても心配されていると思う。大分の地から正しい政治の在り方を語ってほしい」と望んだ。

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